ベイビーアイラブユーだせ
なんだかよくわからないけど、自分のなかで「来たるべき日」に設定されている事象はないだろうか。……ないですかね?昨夜未明、BUMP OF CHICKENのボーカル 藤くん(藤原基央さん)の結婚について情報を目にしたとき「ついにこの日が来たか…」という言葉が唐突によぎった。体のなかのどこからかちいさくシュンとしぼむ音がする。✎________________高校を卒業してすぐ進学のために上京して、23区の端っこでひとり暮らしをはじめた。親が選んだ新築のアパートのエントランスはまだ未完成で、砂利の基礎がむき出しになってた。真新しく外からでも1Kの部屋が並んでいるのがわかるので、田舎から出てきたまだ無防備な若者が多く住んでいると想像するのは容易かったのだろう。オートロックがついていたにも関わらず、変な勧誘がたくさん来た。新聞、浄水器、なんらかの保険、インターネット回線…エントランス付近にいた人と2階のベランダから目が合ってしまったら、塀を乗り越えて侵入してきたやばい人もいた。月並みながら都会は怖いなと思った。新生活にも東京にも緊張しながらなんとか数ヶ月をやり過ごして迎えた夏休み。帰省した地元のジャスコのレンタルCD屋に家族と向かった。特にめぼしいものはないけど、せっかく来たしなにか借りないとなー。そう思って店内をうろうろしていたときに木星の写真のジャケットが目についた。jupiterBUMP OF CHICKENの3作目のアルバム。天体観測だけは知っていてなんとなくいいなと思っていたので借りてみることにした。そうして瞬く間にハマった。✎________________好きなものについて語るのはいつも難しい。BUMP OF CHICKENはほぼすべての曲を藤くんがひとりで作っている。なので内容も曲調もバリエーションは豊かながらも統一感があるところが気に入っていた。あとはなんというか、距離感が心地よかった。孤独や寂しさを必要以上に崇高なものにせず「そういう夜もあるよねえ」と寄り添ってくれた。嬉しさも悲しさも喜びも悔しさも、わりと同じテンションで淡々と歌ってくれる。聞き手の感情をあおらない、しかしながら情緒的な歌詞とメロディーがいつもそこにあった。新譜がリリースされれば学校帰りに高田馬場のCDショップへ行き、ツアーが発表されればせっせと応募した。いまはなき仙台駅のZepp sendaiへライブのためだけに帰省したこともある。行ったことのある人はわかると思いますが、ほぼ駅直結の立地のためにキャパはとてもコンパクトだった。高揚と緊張のあまりライブハウスのいちばん後ろの端っこで、ほんの少しリズムを取るくらいしかできなかった。BUMP OF CHICKENが、藤くんが、地元にいる。目の前で歌っている。最後列からでもかなり近い。すごい。これはすごい。ほんとうに好きなものの前では、もともと少ない語彙力など木っ端みじんだ。✎________________それからもホームページにときどき掲載されるオフショットを楽しみにし、食の細い藤くんの好物がセブンイレブンのいちごサンドだと知ると春になるたびに食べたりしてみた。正直フルーツサンドはいまでもあんまり好きじゃないのに、見かけるとつい手に取ってしまう。自分は好きなひとの好きなものを好きになる癖があることに、このとき気づいた。コーヒーゼリーが好きな母。フランスパンが好きな父。チップとデールが好きな妹1号。すみっコぐらしが好きな妹2号。一時的でもこれらを好きになってきた。本人に伝えるでもなく同じものを食べたり愛でたりすることで、遠くからでもそのひとを思い出すことが自分なりの求愛行動(?)なのかもしれない。✎________________そんな人生の過渡期にささやかながら心の支えにしていた藤くんが結婚されたのだ。同じくファンだった山崎まさよしさんや賀来賢人くんが結婚したときは、ちょっと荒れた。(うわー!って声を出したくらいです…)いまよりもずっと若かったからでしょうねえ。現在ちょっとだけセンチメンタルになっているのは「藤くんもいつか結婚するんだよなあ…」とときどき考えていた自分に対してだった。そんなことを考えてほんの少し気をもんでいた若き日のわたし。いまはもう結婚に対して祝福の気持ちだけがあって、色めき立つでも騒ぐでもなく多少なりとも大人になった、のかなあ。藤くん、あらためましてこのたびはご結婚おめでとうございます。これからもご活躍を楽しみにしております。なにはともあれベイビーアイラブユーだせベイビーアイラブユーだ