目が覚めたら夢だった、かのようにすべてがなくなることはなくても。
この終わりの見えない苦しさが少しでもやわらいでくれたらと願って眠りについた。
 

しかしそれは叶わなかった。



痛みは昨日より鮮明になり、なにもかもが嫌になる。


(でも、このままじゃなにも変わらない…)


なんとかふるいたたせて起き上がろうとするも、どうにも身体に力が入らない。
つらいをとおりこして悲しかった。



離れることがこんなにも痛みを伴うとは思ってもいなかった。
生きているとまだまだ知らないことばかりだ。




「ああ、ここ?ここね。いわゆる寝違えると言うやつですね。正確にいうと頚部の捻挫。肉離れね。かなり痛いでしょ?全然首動いてないもんね。右側はかなり腫れてますよ。左はどう?こっちもちょっと痛いか。まずは痛みを抑えていきましょう。電気を流してからレーザーを当てていきますね。あっ気になっても揉んじゃダメね。炎症がひどくなっちゃいますから。」



The 体育会系な雰囲気の先生は動かない首を見るなり、すぐさま丁寧に説明をしてくれた。
柔道部やラグビー部の頼れる主将、といったスポーツマンガに必ずいるポジションな風貌だった。素晴らしい作画モデル。



診断は首の捻挫…なんとも物騒な響きである。


しかしながらこのどうしようもない激痛の名前がわかって安堵した。安堵したけど、痛みは引かない。


1週間前から首の右後ろにやや違和感があり、おとといこれでもかとマッサージをしたら次の日から経験のない激痛。まったく動かせなくなった。


「首 痛み スピリチュアル」


などと検索している場合ではない。



頼れるラグビー部な先生に治療を受け、自宅での過ごし方などもアドバイスをいただき整骨院から帰途に着く。


立ち寄ったスーパーで特売のハーゲンダッツを購入したからには急いで帰りたいところだ。
が、歩く振動が首に響いて普段から遅い徒歩のペースがさらに遅くなる。


「あら、ゆったり優雅ですわね~」と思うような所作の紳士淑女(おじいちゃん・おばあちゃん)達にさくさくと抜かれては離されていく。
とても追いつけないし、追いつく気力も湧いてこない。


低いカーブミラーに写った顔は痛みで鬼の形相だった。




ぎっくり腰を経験した方ならきっとわかってくれると思う。


横になってしまえば多少楽になるが、起き上がるのが至難の技&拷問。
長いときで10分ほどあーでもないこーでもないと体勢を変えてなんとか立ち上がった。




痛みで口も開かないのでごはんは押し込む形になり、首が動かないので飲みものはストロー。

あくびはなんとかかみ殺せるけど、咳とくしゃみは恐怖しかなかった。
こんなときに限ってわかめスープでむせる。


咳のたびに衝撃がガツンガツンと首を襲う。おのれわかめスープ…!いや、しじみスープだっけ。





別れとはいつも悲しくつらいものですが、ことに筋肉の別れ(離れ?)がこんなにも痛みを伴うとは…。

まだまだ痛みは残っている。というか正直、まだ全然減ってない…!



今夜もこの痛みを抱いて眠ろう。
保温のために首へ巻き付けていたタオルをキュッと締め直す。

元気になったらタピオカミルクティー飲むんだ。