お久しぶりになってしましましたが、
オーダーメイドの魔法の杖にまつわる
不思議の森でのお話しを紐解くシリーズです。
★好評だった、過去の魔法の杖の物語はこちら!
今回のお話しは、
こちらの魔法の杖にまつわるストーリー。
オリジナルのストーリーです。
こちらの魔法の杖は、
不思議の森にある見晴らしのいい丘にまつわるもの。
そのてっぺんにある岩には、
無数の伝説が語り継がれてきました。
それは不思議なことに、
ある人には剣に見え
ある人にはたいまつに見え
ある人には何かの植物に見えたりするそうです。
必要なときに、
必要な者の前に現れる・・・・・。
そんな、
訪れる人の数だけあって
その人にだけわかるもの。
ロマンティックな背景を従えて
物語ははじまります。

それではみなさんも一緒に、
物語のページをめくっていきましょう。
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【魔法の杖の物語】
風の吹く丘
丘に向かう道では、風が吹いている。
微かに潮の香りがする。
ここから海は見えないのに。
潮の香りは私を浮足立たせる。
昔、この辺りは海の底だったらしく、
貝や珊瑚の化石が今でも見つかる。
長いスカートがハタハタと翻り、そこにはないものの形を描く。
まるで私のようだ。
ここにいるのは私であって、私ではない。
その感覚が、未だに頭をもたげてくる。
私という肉体を纏うのに、ようやっと慣れたつもりなのに。
…つもりなのだ。
そうじゃないのだ。
まだ慣れていないのだ。
愕然としながら、丘を見上げる。
勇気の杖、なんてものを錬金術師に頼んだのは、いささか時期尚早だっただろうか。
具現化した誓いは、この心許なさを救ってくれるのだろうか。
私は救いを求めているのだろうか。
答えのない問いを反芻する。
錬金術師の言う岩は、丘のてっぺんにあった。
行けばわかりますよ、と含みを持たせた笑みを浮かべていた。
岩は少し湿り気があり、ティートゥリーに似た香りがした。
窪みに指をはわせると、
ギョロリと緑色の眼がのぞいた。
驚いて思わず尻もちをつく。
ご、ごめんなさい。
訳もなく謝ってしまう。
僕だよ。
声が聞こえる。実際の声ではなく、頭に響く。
僕だよ。
まだ怖がってるの?相変わらずだね。
…カイロン?
何が怖いの?僕のこと?
またそうやってすぐ謝るんだから。
カイロンなのね??
待ってたんだよ。ほら、とっととここから出してよ。
出すって、どうやって?
知らないよ、知ってたらとうに出てるよ。だから待ってたんだよ。
混乱する。錬金術師に聞きに行こうか。会えそうな気が全くしない。教えてくれそうな気もしない。
気を取り直して、もう一度、岩に触れてみる。なんだかさっきより熱い。振動が伝わってくる。生きているみたいだ。
中、どうなってるの?
中ってどこ。
言葉が噛み合わない。
観念的なものなのだ。
見ようと思えば見える。触ろうと思えば。
手に入れたいと願えば。
カイロン。私の勇気。私の翼。
ズブズブと手を岩にめり込ませる。頭まで呑み込まれる。不思議と恐怖はなく、高揚感が私を突き動かす。
私の願うものを、私の手に!
光と闇が渦を巻く。閉じそうになる眼を見開く。閃光が走り、闇に蠢くものが浮かび上がる。迷わず、右手を伸ばし、握りしめる。
捕まえた!
その瞬間、身体が岩から弾き飛ばされた。
…戻った?
そこらじゅう泥だらけだ。岩はそしらぬ顔をしている。
右手に、彼がいた。
あの頃の彼だ。私の魂の半分。
やあ、久しぶり。綺麗になったね。
泥だらけよ、私。でも、ありがとう。
あなたも素敵よ。
これからはずっと一緒。
どこにだって行ける。
世界の果てまでも。
あなたとなら。
私となら。
どこまでも行こう。
STORY by
Nora
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実は、
この杖のオーダーをいただくにあたって、
ひとつテーマをいただきました。
それは、「勇気」。
人によってその場面は様々ですが
勇気が形となるときには
いったいどんな顔をしているでしょうか?
彼女のみつけた、
勇気という概念。
その周囲をとりまく諸々の感情でさえも
手に負えない醜さのようで
目にみえると安心をもたらすものであったりする。
それは、
この後に続くサイドストーリーにも
色濃く抽出されています。
まるで美しい映画のよう。

次回は、明日。
本作のサイドストーリー、
side-Bのお話しをご紹介します。
※フルオーダーの魔法の杖は、
こちらからご注文いただけます★