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 イネゲノムの解析で世界的に偉大な業績を上げた村上先生は、その後、笑いの総合商社・吉本興業とタイアップして、笑いが健康(遺伝子)に及ぼす影響を研究をしている。2004年12月初版。

 

 

【笑いのセラピー】
村上 : これは、ダライ・ラマ法王から聞いた話ですが、インドには 「笑いのセラピー」 という施設があります。
横澤 : そこでは、笑いだけで病気を治すのですか?
村上 : はい。インドでは、貧しい人は病院にも行けない。そこで心のケアをする必要があります。笑うことで、心を癒すのです。そんなセラピー施設が、インドには千二百か所もあるということです。(p.56-57)
 日本でも、笑いに関する研究をしている人々は少なからずいる。その中心こそが村上先生なのかもしれない。

 

 

【日本笑い学会】
 私は、笑いと遺伝子の実験を進めるにあたって、「日本笑い学会」 に入りました。
 ・・・(中略)・・・。
 笑いとユーモアに関する研究は、これまでは、哲学、心理学、社会学、文芸学、人類学、医学などの分野で専門的に行われてきましたが、日本笑い学会は、そういう専門家の壁を越えて交流を深め、笑いの総合研究を目指しています。笑いやユーモアは、人間の根本的な部分に関係しています。様々な角度から総合的な研究がなされることによって、笑いの持つ素晴らし効用が、さらに明確になっていくことでしょう。(p.58-59)
 “笑いの力” に興味を持っている人々は少なくない。下記のような著作って結構よく目にするものである。
   《参照》   『笑いの力』 河合隼雄・養老孟司・筒井康隆 岩波書店

 

 

【笑いの本場、大阪は感性の世界】
 昔から、大阪は商人の町です。江戸時代には、「武士は三年間で片頬しか笑わない」 という武家社会があって、大阪人は笑いで権力に抵抗していたといいます。 ・・・(中略)・・・ 。大阪商人は、モノの値段を値切ります。その時に、生まじめに、
「この値段は、私が判断するに、だいぶお高いと思う。なぜなら、この材料は・・・」
 などと交渉していては、けんかになりかねません。売り手と買い手とは、それぞれ立場が違うのですから、論理で攻めてもうまくいきません。生まじめに価格折衝をして、売値が決定したとしても、売る方も買う方も、互いに相手を 「何てケチでみみっちいヤツなんだろう」 と思うに違いありません。
 ところが、大阪商人は、互いに洒落や冗談をいい合います。論理ではなく、感性の世界に引き込んで、自分の知っている技を使って相手を笑わし、緊張を解き、「しょうがないな、このあたりで手を打つか」 という気持ちにさせるのです。
 そこが腕の見せどころ。いくら儲かるから得るではなく、「こんなに笑わしてくれたて、楽しくしてくれたのだから、少しはまけてあげよう」 という気持ちになり、それで売ってしまうのです。(p.73-74)
 関東の人々は、「なるほどねぇ~~~」 とは思うだろうけれど、関東にはアホを評価する文化もないし、自分自身に相手を笑わせる才能もないので、現実的かどうかと考えると、ちょっと頭を抱え込んでしまうだろう。

 

 

【遺伝子のスイッチが 「オン」 になるような芸人さんのタイプ】
村上 : 横澤さんがご覧になって、伸びる芸人さん、遺伝子のスイッチが 「オン」 になるような芸人さんは、どういうタイプですか。
横澤 : それはもう、人が見ていない所で努力している人。いつも遊んでいるように見えて、人一倍努力している。(p.129)
 遺伝子のオン・オフは先天的に定まっているのではなく、後天的な努力で切り替わるということ。
 お笑いも技である。技は磨いて高めるモノ。
   《参照》   『「人をつくる」という仕事』 テリー伊藤・木村政雄 (青春出版社)
              【研究熱心なサンマさん】

 

 

【偉い人の判断基準】
 私は、人を判断する時に、「威張っているかどうか」 という視点でみています。偉い人で、威張っている人を見たことがありません。ダライ・ラマ法王も、まさに 「本物の偉い人」 でした。(p.181-182)
 ダライ・ラマ法王って、いくつになっても少年のような瞳をしている。村上先生もそんな感じである。

 

 

【誠の思い】
 63歳で大学を退官した村上先生は、その時を期に、国際科学振興財団で、「イネcDNA解読プロジェクト」 を開始したのだという。
 私たちの国際科学振興財団も、資金にゆとりなどありません。そこで私は、この研究のために、大学の退職金の全額を寄付してしまいました。どうしてもイネの遺伝子の暗号解読だけは、日本で完成させたかったのです。(p.154)
 村上先生のこのような誠の思いを受け取ったサムシング・グレートが、先生のプロジェクトを成功に導いたのではないだろうか。
   《参照》   『イネゲノムが明かす「日本人のDNA」』 村上和雄 (家の光協会)
 偉大な業績を残す人々には、本当に私欲がない。
 日野原重明先生も、福島孝徳先生も、御自身が目指す病院を建設する時には、莫大な借金を背負いこむことから始めている。
   《参照》   『福島孝徳 脳外科医 奇跡の指先』 PHP取材班編 (PHP研究所) 《後編》
              【私費を投じて・・・】

 

 

【日本人の遺伝子】
 人間の細胞一つずつでも不思議な力があるのに、一人の人間には60兆個もの細胞が、自分を生かしながら、しかも周りのものと調和し、互いに助け合って生きています。そういう命令が、遺伝子には書いてあるのです。人間の遺伝子には 「おかげさま」 という心があり、特に日本人の場合は自然と共生し、自然を敬う文化の遺伝子があります。
 最近では、この遺伝子がオフになっている人が増えているように思います。これがオンになれば日本は世界でも優れた国となるでしょう。(p.202)
   《参照》   『おかげさまで生かされて』 ペマ・ギャルポ (あ・うん)
              【おかげさま】
              【 「おかげさま」 の精神を取り戻せ】


 

<了>
 

  村上和雄・著の読書記録

     『世界は1つの生命からはじまった』

     『イネゲノムが明かす「日本人のDNA」』

     『笑う!遺伝子』