霊感と生物学的変化の謎 | kyupinの日記 気が向けば更新

霊感と生物学的変化の謎

このような話は好きな人は興味があるだろうが、嫌いな人は全く受けつけない人もいると思う。そう歓迎されるようなものではないし、医師がこういうことを書くのもどうかと思っていたので、今まで気乗りがしなかった。このブログの過去ログのコメント欄でブミ氏との以下のようなやりとりが出てくる。

■>>kyupin先生 ソースについて 
大切な人の死が予期できる能力や薬物選択の直感などのソースについては、ご自身で思い当たるところがあるのですか?直感は訓練で幾分かは向上すると思いますが…。
森鴎外の凄く短い小説に『カズイスチカ』というのがあります。好きな小説なのですが、この中で医師である父に同じく医師である主人公がどうしても及ばないと思う点に、患者の死期を正確に言い当てるということが出て来ます。小説ではその秘密は「全幅の精神」(フロイトみたい?)で患者を観察することになっているのですが、なぜか20年以上前に読んだこの小説を思い出してしまいました。
(参照:http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/680_23198.html)
ブミ 2007-04-29 00:19:26

■>>ブミ
直感のソースはありません。あるとき、偶然知ったのです。この能力については、自分にはマイナスにしかならないので、ある時期その能力が消え去るように願っていたこともありました。いつかエントリで書こうかと思っていますが、なんとなく気が進まないのです。理由はわかってもらえるかと思います。
kyupin 2007-04-29 15:25:56


霊感、特に患者の死に関しての予知、死んだ瞬間がわかることについては、ある時、気付いたもので子供の頃からあったものではなかった。霊感について話すとなると、僕の生い立ちから書かなければならない。

僕の祖母はその地方では有名な温灸療法師で、たくさんの患者さんが訪れていた。県外からも患者さんがやってきていたし、医師も治療に来ていたほどだ。こういうことを書き始めると、僕の素性がばれそうでちょっと怖い感じもするのだが。

僕は子供の頃からずっと体の具合が悪かったので、祖母には相当に助けられた。祖母はいろいろな病気を扱ったが、最も成功率が高く得意なジャンルは「結石を出すこと」であった。尿管結石が主である。現在は超音波治療も可能だが、当時は外科手術をせざるを得ない人も多かった。短い治療で簡単に出てしまうので手術をしなくても良くなる。これらは治療効果が明瞭なので、周囲から見ると、あまりも劇的であった。他の治療がダメかというと、漠然とした病気はまあ良かった。本人の話では交通事故の鞭打ちはあまり良くないのだという。そういう人は整形外科か整体に行ってほしいと話していた。よく考えると、このような患者が最も来そうなんだけど。とにかく治療したのべ人数は相当なものになるはずだ。

僕が祖母の治療する場面を見たのは多くはない。自分が治療を受けていて、その時に祖母の治療の話を聞いていたのが多い。大学生時代に帰省し、祖母の家に遊びに行った時、たまたま患者さんを治療しているのを見たことが何回かある。

ある時、おそらく?統合失調症の少年(高校生くらい)を治療していたのを見た。その子は今から考えると、目が死んでいた。祖母によれば、計7回くらい治療していたら、とにかく幻聴だけは止まったのだという。この当時まだ僕は大学2年生くらいだったし、その治療に特に興味を持ったわけでもなかった。しかし、その時の話は嫌によく覚えていて、いくつか箇条書きに挙げてみる。

① 精神科患者の幻覚妄想の治療については、あまりしたくはないと話していた。なぜなら、普通の内科的疾患に比べ治療による患者さんの倦怠感や不快感が酷すぎるから。内科的疾患は実施した後、患者さんは爽快になるのだが、精神科患者はその逆なのである。これは今、僕が考えるに、患者の身体の神経が麻痺した状態になっていたのが生気を取り戻し、リアリティが出てくるからであろう。生気を取り戻したためにかえって強い倦怠感が伴う。あくまで東洋医学的な考え方なのだが。

実際、僕が極めて重い統合失調症の患者さんの温灸療法をしたところ、身体は本当にサイレントと言えた。脳ももちろん究極のサイレントだった。普通の人では(うつ病の人も含め)そういう反応にはならない。統合失調症の人とうつ病の人とではサイレントの場所が違うし、サイレントの濃淡みたいなものも違うのである。

② 精神科の患者さんの治療を始めると、「最初に吐き気や強迫症状が出現することが多い。」これについてだが、祖母は「強迫」という言葉を知らなかったので、具体的な症状の例で話していた。僕が通訳するというか換言すればこういうことになる。これはたぶん間違いなく寛解の方角に向かっていると思われる。

③祖母はうつ病に関してのある発見をした。これは、専門書にも記載がなくそれまでわかっていないものだった。幻覚妄想系のツボは後頭の左右に位置しているのに対し、うつ病のツボは前頭の左右にあるのである。これは西洋医学が右半球、左半球と分けているのに対し、東洋医学ではちょうど90度回っている。これは非常に興味深いと思った。まさに大発見である。この話をある有名な精神科医に話したことがあるが、「それは間違いない」と言われたことがある。

④ 精神科の患者さんは、ぜひ脳病院に行ってほしい。
(これにはワロタ。たぶん他の疾患に比べ、改善の実感が患者さん自身に伝わりにくいからだと思われる。いわば、やりがいの問題)

上の少年のその後だが、元気になり学校に行けるようになったのだという。それ以上のことは知らない。ところで、祖母のしていることで常人には絶対真似ができないことがあった。それは「法」と呼ばれる温灸を利用しない治療である。「法」だけで石が出てしまったこともあった。これは今から考えると、どうも気功のようにも見えるが、祖母はそれを否定していた。僕もこの「法」による治療を受けたことがあるが、交通事故の後、鞭打ちで首がずれているような不快感が「ミシッ」という音がした瞬間、一発で治ったので、これはすごいと思った。26歳頃の記憶である。「鞭打ちは苦手」とか言っているくせにやる時はやるじゃんと思った。あと、祖母には患者の生死だけでなく、いろいろな出来事の予期能力があった。

祖母が僕に話していたことだが、やはり孫が国立大学の医学部で学んでいるというのはとても誇りなんだと。患者さんにそういう話ができるだけで幸せと言いよく僕に小遣いをくれた。

ところで、僕がこの温灸療法ができるかと言うと、できるよ。

ただ、そういう機器だけは持っているが、本当に滅多にしない。今までにした人をすべて挙げられるほどだ。1人目は僕が29歳の時に生まれて初めてかなり重い40歳くらいのうつ病の女性患者さんに実施した。ルジオミール225mgでも回復せず、しかもECTも本人が受けないと言うため仕方なく行ったものだ。

次は32歳頃、もうバラバラのどうしようもないほど崩れた統合失調症の男性患者さん。当時、この人以外にも数名行ったことがある。あと1人は一昨年だが、このブログに出てくる僕の友人。彼女の場合、施行直後に不快感と倦怠感が出現し、これでは続かないと思って1回でやめた。この程度なので治療的になっているかさえ疑わしい。なぜ僕がこのような療法をしないかというと、施行した後に、僕自身が気を抜かれたようにとてつもなく疲れることに気付いたことと、こういうオカルトのように見える治療を西洋医がしてしまうと、変な精神科医としか思われないから。(参考

僕は西洋医なので、ぜひ正攻法で治療を行いたいのである。西洋医は特別なことをしたいなら、ECTをすべきだ。

補足と考察 
僕は多くの患者さんには実施したことがないのであるが、いくつか気がついたことがあるのでここで書きとめておきたい。僕がした範囲では、うつ病の人と統合失調症の人では温灸療法をした時の「反応性みたいなもの」はかなり相違がある。自分の感覚ではうつ病はなんとかなりそうな感触がある。その理由は、何回か時間をわけて行うとうつ病の人たちは少し反応が出てくることから来る。

しかし一時的に不安感、倦怠感、人によれば強迫が出てくるために、本人もこちらも悪くなっているように思うことが多い。しかし少し時間が経つと症状が軽くなってくるので、たぶんそこまではしないのだが、最終的には少し良くなるのではないかと思った。僕は普通の抗うつ剤で治療した方が本人はむしろ楽に治療できると思う。

統合失調症の場合は非常に難しい。僕はもう大変な重さでどうしようもない人しかしていないので、そう見えたのかもしれない。脳は究極のサイレントさで、続けていっても何か反応が出てくるようには思えないのである。ただ、新鮮な統合失調症の子供を治療していた祖母は、次第に鈍い反応性が出てくるようなことを言っていた。祖母は「法」という大技も駆使していたからだ。

しかし、脳がはっきり反応し始めると、吐き気、嘔吐などの自律神経系の反応や、一時、強迫が出たり不眠も出現する。まさに精神、神経を攪拌するわけだ。祖母によると、特に眠剤を使っている場合、かえってこの治療による脳の回復が妨げられるようなことも言っていた。きっと、ベンゾジアゼピンは脳を麻痺させる面があるから、東洋医学的にはマイナスなのであろう。僕は新鮮な統合失調症ならば、ああいう神クラスの人によれば治癒してしまうこともありえるような気がしている。


(この話には続きがある)

参考
霊感と生物学的変化の謎
患者さんの死と霊感
霊感への憂鬱
忘れられない光景
希死念慮という物質とトロペロンの謎
霊感への畏怖について(番外編)