確かに『キュリさん』の言い分には一理あった。
嫌な思い出はサッサと忘れた方がいいに決まっている。
ただ、思いっ切り自分に都合の良い?視線から話をさせてもらえれば、互いに『あんな男』に出会ってから今のような状況になるまでの過程が違い過ぎる。
出会いはともかく、結婚生活そのものが「虐待の連続」と言えるような生活だった私とは違い、彼女はそれなりに収入が高いビジネスマン(それこそ「車」も「持ち家」もあったではないか!(;^_^A)の「ダンナ」の側からキチンと望まれて結婚し、職種が変われど経済的な心配を掛けられたことは無く、望んだ子供が産まれ、その子供に対して「一生の財産として」一貫して私立学校に通わせ、その子供が大学出て独立してからもキチンとある程度のレベルの生活とパートナーが出来るまで、まさに「見守って」くれたような人だ。
『夫』としてどうだったか、なんて簡単には言えないが、少なくとも『父親』としては十分及第点と言える人物ではないだろうか?
何より、私は自分からケツを捲った側だが、彼女がこうなったのは自分の意志ではない。
だからこそ衝撃的な『アノ日』まで、彼女の生活は一般的な夫婦としての戯言以上の問題は無かった、と(少なくとも彼女の側からは)言えたのではないだろうか?
いや、第三者からだったらそう言われても仕方ないだろう。
それ以上に私に不信感を抱かせたのは、私に対しては「サッサと忘れろ!」と言い、自分は「もう顔も忘れている!」と言いつつ、まさに「同じ口」でこんな話もしていたからだ。
彼女の部屋の窓からは直ぐ近くの教会の十字架が一枚の絵画のように綺麗に見えていた。
ある日私がそのことを褒めると、『キュリさん』が満面の笑みと共に言ってくれた。
「そうなの!
だから私、『毎晩』寝る前にアノ十字架に向かって御祈りするのよ!
サッサとオカネの問題が片付きますように、そして
サッサと『アノ男』が死にますように、って!」
(◎_◎;)……『毎晩』……!???
更に彼女は
「アナタだって、そうでしょ?」
…と言って来たのだから……!
いや、確かに私、「話のネタ」として心の奥から引き出して来たり、「タオ」の態度に「モト」を思い出して腹が立つ事は多いけれども、わざわざ寝る前に思い出すような事はしないですよ……まして『毎晩』なんて……!