フキ
フキとツワブキは良く似てはいるが同じキク科の多年草でも別種だ。フキは数少ない日本原産野菜で平安の時代から野菜として栽培されている。全国の野山にも自生し、野菜であり山菜でもある。フキノトウはこのフキの花茎だ。北国のフキは大型で、アイヌの神話に出てくる妖精コロボックルは「フキの下の人」と言う意味らしく、古くから親しまれていたのがわかる。フキは春から秋まであり、冬になれば地上部は枯れてしまう。若葉も天ぷらやあえもので食べられるが料理には茎を利用する。アクも少なく美味しく食べられるのは4月から6月だ。日陰や水分の多い場所のフキほど柔らかくて美味しい。
ツワブキはフキよりも葉にツヤがあるのでツワブキになったようだが、フキと違って常緑で青々としている。主として東北地方以南に分布し、南の島々、屋久島などもツワブキが多い。フキの花はフキノトウが立った後の早春だが、ツワブキの花は秋から冬にかけてだ。ツワブキは野菜として扱われる事はないが、九州名産の佃煮「キャラブキ」はこのツワブキが使われる。今では扱いやすいフキが全国的に使われるようになったがキャラブキのルーツは野生のツワブキだった。見分け方は簡単だ。フキなら芯が空洞になっているがツワブキには穴が開いていない。まあどちらも美味しいが野趣溢れるのはツワブキかも知れない。子供の頃は山でよくツワブキを採った。株の中心から出てくる綿毛を被った太くて柔らかい茎を折り取る。葉も綿毛に覆われ開く前の小さなものが良い。
20代半ば、ヤマハのマリン担当で屋久島のリゾート施設に赴任したが、そのホテルの名前は「石蕗の舎」ツワノヤだった。名の通り広い敷地はツワブキで覆われ、目の前が綺麗な海で、ヤブツバキとハイビスカスとバナナが群生、面白い雰囲気があった。その昔、宿泊した人もいるかも知れない。当時、大型クルーザーの船長もしていたが、船舶基地は一湊港にあり、掛け持ち芸者でこの施設ではイシダイ釣りなど磯釣りのガイドもしていた。山に行けばフキもツワブキもたくさんある。休日は野山で遊び、採取して持ち帰り、一度佃煮を作ってみてはどうだろうか。そのほうが買うよりははるかに安い。株は大きくなる一方でいくら採取しても絶えることはなく、趣味と実益を兼ねて毎年恒例で楽しめる。



