イシダイは「友情」で突く | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

読者のmizumaさんからリクエストがあったので、今回はイシダイの突き方を。

黒鯛の簡単な突き方は以前に書いたが、何事も訓練が必要だ。魚を突く上で一番大切なことは道具の性能ではなく「魚の習性」だ、これは釣るのも同じ事。

相手を知らずして捕まえられるものでもない。

 

魚の習性はそれぞれ皆違う。

知識だけでなく実際に確かめて動きのクセやスピードを見極める事が必要になる。

それから道具の機能や突く技法を決める。

何でも追いかければ良いというものではない。

追いかければ魚は逃げるのが当たり前。

逃げない魚にお目にかかったことはない。

 

魚の中でもイシダイは突きやすい。

最初は難しいと思ったが要領がわかれば簡単だ。

今では見つけたら「いただいた気分」になれる魚だ。

7m以上の底に見えるイシダイは真上から猛スピードで「直滑降」して突くが、これは野人以外には難しい。

ブリなどの回遊魚も同じ方法だ。

 

イシダイは魚の中でも抜群に好奇心が強く磯まわりをゆっくりと泳ぐ。

m以内でも突ける魚だ。

逃げ足は速いのだが、「逃げる理由」がなければ絶対に逃げない。

だから見つけたら最初が肝心で「無視」にかぎる。

全ての魚にも言えるがよだれは禁物だ。

殺気を出さないのは共通の事。

 

イシダイはじっとこちらを観察するが、そちらに向かってはいけない。

息が続かなければ浮上してまた潜り、「探し物」をするような格好で別の方向にゆらゆら泳ぎながら、徐々に距離を詰めて行くのだ。

横目でちらりと見ながら「オ~マイフレンど~!」という「笑顔」を見せるくらいで良い。

 

距離が詰るとイシダイは逃げ腰になりながらも気になって仕方がないから一気に逃げる事はない。

そして決まって一時堆肥・・いや「一時退避」するのだ。

必ず岩の穴や大石の下へ。そうなればしめたもので、一旦浮上して穴へまっしぐらだ。

目の前にイシダイがいるから至近距離でし止められる。

 

穴が深くてモリが届かない場合は・・・イシダイを見て「愛想笑い」をして一旦浮上、約20秒してから再度潜り、今度は覗かずに、岩の穴の上で岩に捕まり、モリをかまえて穴の入り口に照準を合わせて待ち伏せれば良い。

イシダイが様子を伺うようにしてモッソリと出てくるから目が合う。

そこで「ごめんね」と言いながら突くのだ。

 

この方法はいつも心が痛む。

善良なイシダイを騙まし討ちするみたいで野人の武士道精神に背く。

生き物の宿命と人間の哲学の狭間で野人の慈悲は養われた。

ただ、「いただきまあ~す!」の瞬間だけは幸せすぎてそのかけらすらなかった・・・・人は罪深い