眠れる野人の手裏剣 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

もう随分昔に野人が心魂込めて作った手裏剣だが、見たことがある形だと思う。どちらも伊賀流忍者が使っていた。違いはその重さで、通常の3倍以上あるゴツイものだ。つまり人間用ではなく「猪用」なのだ。戦闘ベストに収納して薄暗くなる前の山に入る時、3本でも体が傾いてしまうくらい重い(笑)。あくまで護身用ということにしておこう。全部で10本作ったが刃先は焼き入れもしてあるから曲がる事はない。実戦では忍者は手裏剣を黒く染めて光の反射を防いだ。十方手裏剣は一般的だが、もう一つは「クナイ」と言って、昔は手裏剣以外にもナイフの代用や土掘り、壁に穴を開けるのにも使われていた。柄には麻を巻いて滑らないようにしてある。ヤマハにいた頃、休日にこの手裏剣の手入れをしていたら、部下の女子社員が3人訪ねて来た。会社の広大な自然遊歩道に放すドジョウやザリガニ、メダカに手長エビなどを捕獲したいと言う。「丁度良いところへ来た、まああがれ」と言って招き入れ、手裏剣磨きをさせた。おそらく人生初体験だっただろう。彼女達が磨きながら言った言葉は、「こんなの重くて投げられない」だった。全員体がゴツくて投げる気満々だったのだ。それから4人で網やバケツをぶらさげて、小川や田んぼの畔を回った。大の大人が、しかも若い女性が3人も、ドジョウすくいみたいな格好で小川に入り遊んでいるものだから、たまに通る車からも好奇心の目が向けられていた。野人が付き合えばもちろん大漁だ。その翌日、彼女らは会社で、魚獲りよりも手裏剣磨きの話で盛り上がった。おかげで野人はしばらくの間他の社員達から「女の子達に手裏剣磨かせたって本当~?」と質問攻めにあった。

もう何年も使ったことはないが、愛用の手裏剣はたいして錆び付くこともなく、出番を待っている。手裏剣にだって「心」はあるのだ。シュルシュル~!・・と、気持ちよく飛びたいに決まっている。