続きです
8時を少し過ぎたころ。
ようやく息子からLINEが来た。
画面に映った言葉は、こうだった。
「いま、新宿のラブホテルにいる」
は?横浜じゃないの???
思わずスマホを二度見した。
ホテル? 誰と? 何のために?
私の頭の中では、一気に赤信号が点滅し始めた。
「え?誰と?彼女できたの?……いつ帰ってくんの?」
できるだけ平静を装って返す。
だけど、すでに私の中では、いろんな良からぬ想像が暴走を始めていた。
すると、彼から返ってきたのはこうだった。
「30代の男性と一緒」
「夕方には帰る」
私の頭が、真っ白になる。 意味がわからない![]()
「◯◯さんが奢ってくれてるから、お金は大丈夫」
いやいや、全然大丈夫じゃない。
むしろ何が起きてるのかわからなくて、こっちはパニックなんだけど![]()
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その言葉の“薄さ”に、むしろ恐怖を覚えた。
彼はこの状況を「普通のこと」として認識してる。
自分の身に起きてることが、どれだけ異常で、危険で、
どれだけ母親を不安にさせているか、まるで実感がないように見えた。
もう一度GPSを見てみた
やっぱり歌舞伎町のホテルの位置を示している。
彼が今、何をしているのかも、
どんな顔をしてそのLINEを打ってきたのかも、まったくわからない。
ただ、ひとつ確かなのは――
私の中の“母としての直感”が、はっきりと危険信号を出しているということだった。
私「カラオケに行くって出ていったのに、どうしてこんなことになってるの?」
息子「カラオケは行ったよ! 男の人だけど、何もしてないから大丈夫」
私「そういうことじゃないのよ(いや、そういうことでもあるけど(笑))」
私「他にも誰か一緒にいるって言ってたでしょ? その人はどうしたの? そもそも、その男性、仕事は?」
息子「俺と同じく月曜休み。夜勤で車つくる仕事してる人」
……余計にわからない。
私の中で、警報が鳴り響いていた。
そして、とうとう関西弁が出た。
普段は標準語で話してるが、興奮すると変換機能が壊れるらしい(笑)
「とりあえず帰ってきて! 話がしたいから!」
「何で歌舞伎町のホテルに男と2人でおるねん!!!」
「仮眠するだけならサウナでもええやん! 満喫だってあるやろ!」
言葉が止まらない。
ただ、返ってくるのは、彼の淡々とした言葉だった。
息子「とりあえず昼に起きるから。そのときに連絡する……眠い。頼む、ごめん」
あかーーーん。
こっちも限界や💦
私「頼むから帰ってきて!! 家で寝たらええやん! 朝帰るって言ってたやん! 心配で寝られへんくて、こっちも寝不足で具合悪なってきたって!!」
息子「今寝たい、ごめんって」
もう泣きそうだった![]()
私「約束守らへんの、ほんまによくない。朝帰るって言ったんやから帰ってきなさい!」
「カラオケでオールしたんやろ? じゃあもう帰ってこれるやん!」
まくし立てるように、私は一気に送った。
既読がついた。
でも、返信はない。
限界だった。
「帰ってこないなら仕方ない。警察に捜索願出します」
そう送った瞬間、ようやく返信が来た。
息子「余計なことせんといて。めんどくさいことしないでよ。やめて」
……めんどくさいって何?(怒)
私「じゃあ昼に帰ってこなかったら、本当に警察行きます。「車でドライブしてくる」⇨「カラオケ行く」⇨「朝帰る」⇨「昼帰る」
どんどん予定が伸びてるよね?」
息子「20代でもこんな言われるのかよ💦」
なんて返ってきたから、私は反射的にこう打ち込んだ。
「まだ19です!!! 8月なったらやっと20歳でしょ!!!」
息子「……まぁ、そうだけど」
はぁ……
落ち着く暇もなく、私は続けた。
私「◯◯さんって人、会ったこともない。お母さんと話したこともない。
あなたの人生やから、遊びに行くのは勝手やけど、
なんで歌舞伎町のラブホに30のオッサンと2人やねん!?
意味わからんわ。サウナも満喫もあるのに、なんでホテルやねん!」
息子「ホテル代は◯◯さんが払ってくれたってば」
「そーゆーことじゃない! あんたが“払ってくれた”って言うときは、大体なんか裏あるときやんか!」
「嘘ついてたり、せびられたりしてるときやろ! そんなんばっかりやん!」
そして、最後に届いたメッセージ。
息子「寝てろようるさいな……大丈夫やって。心配させてごめん……オレが悪い。本当にすみません」
涙が、止まらなかった。
いくら言っても、届かない。
この言葉だって、本当に本人が打っているのかどうかすら、もうわからない。
もしかして今、隣に誰かいて書かされてるんじゃないか。
どんどん悪い想像ばかりが浮かんできて、気が狂いそうだった。
そして、ようやく――
午前9時前。
息子から電話がかかってきた。
続く


