
薬物療法のアナログ的な側面
精神科の薬物療法は、これこれの症状にはこの薬を使った方が良いというデジタル的な面がある。
例えばうつにはSSRIやSNRIを処方するなどである。これに加え不安感とか不眠などの症状が強いとそれに応じた薬物を選択をするなどもあるが、これも本質的にはデジタル的な側面である。
しかし一般に日常臨床で、精神科医はそれぞれの症状をスコア的に評価することはしない。例えば論文などを出す際にはスコアで評価する必要性も生じるが、日常臨床ではそうでない場面が圧倒的に多い。
スコアで評価しないということは、本人の話す内容や、姿勢、表情や視線の動き、声のトーンや話す速度、動作など見たままの症状が重要になる。これらは映像的な所見で、症状の抽象的な面であり、スコアで評価しにくいものだ思う。
とりわけnon-verbalな精神科症状は、将来、精神科診断治療にAIが入り込んでも、そこまで確からしい治療に反映出来ないのでは?と思う。
またこの抽象的な所見の把握の深さが、その薬物を継続するか、あるいは変更するかに影響する。更にこれが出来ないと、さほど効果的ではない薬を整理し、シンプルな処方にすることができない。
ここが精神科のアナログ的な側面だと思う。
ここが例えば降圧剤、高脂血症の薬が明瞭にスコアで評価できることとの大きな相違である。
2010年の象徴的な記事。症状の変化を把握できる価値の話。
参考