処方変更
以前、長く診ていた統合失調症の患者さんが他の病院に転院したことがあった。その患者さんは大柄ではあるが、大人しい人で暴力的では決してなかった。しかし、時折、てんかん的な不機嫌が出現するので、デパケンRを併用していた。これを追加していた方が長い目で見て安定するし、抗精神病薬を減量できるのである。てんかんでも躁うつ病でもないが、デパケンRを併用する価値があるという感覚でそれ以上の意味はなかった。
ところが、転院先の主治医がデパケンRをすぐに中止してしまったらしい。そのうち病状が不安定となり、その患者さんが主治医に暴力を振るい大怪我をさせるという事件が起こった。すぐに措置入院になり、当時勤めていた病院に戻ってきたのである。
彼になぜそのようなことをしたのか聞いてみた。彼によれば、薬をこういう風にしてほしいと頼むのに、全然応じてくれなかったのでキレたと言う。
うちの病院でも時々転院患者が来るが、僕の場合、いかに多剤併用で不思議な処方でも最初はそのままに近いものを処方することが多い。なぜかというと、どんな風に見えても、その処方にはそれなりに意味があると思っているから。それと、そういう風な処方を急に変えようとしても、ろくなことにならないというのがある。
すごい多剤併用でも、直感的に容易に変えられないと思える処方もある。この時の事件だけど、このドクターは統合失調症なのになぜデパケンRなんて使ってあるんだろうと思って中止したのだと思う。怪我をしたドクターには気の毒だけど、あまりにも思慮がない処置が原因に思われた。
彼は確かに統合失調症なんだけど、体型的にはクレッチマーのいう闘士型体型であった。最近はあまり言われないけど、古典的には「闘士型-粘着気質-てんかん」という組合せがあるのである。
僕がまだ3年目くらいの頃だけど、ある公的病院で働いていたのであるが、同じ医局に神戸大学出身の先生がいた。彼とは今でも年賀状のやりとりをしている。彼は僕より経験年数が5年以上多かった。その同じ病院でたいして来ない女医さんがいた。「たいして来ない」というのは変な言い方であるが、つまり非常勤ということである。年配のドクターなので、経験年数は15年以上と思われたが。
その女医さんの得意技は、「他の人の持ち患者の100%処方変更」であった。それまでの薬をすべて中止し、突然、自分の好みの薬に変更してしまうのである。当時、その神戸大学出身のドクターと酒を飲んでいる時、その女医さん話題が出たことがあった。彼はニコニコしながら話していた。
「これはダメ!!って感じでしょ。」
「あれはいったい何なんでしょうね?」
確かに叱りつけるような処方変更ではあった。まだ新米の僕の処方を変えるならまだわかる。もう経験もあるその神戸大学のドクターの処方も、目に余るほど変更していた。その飲み会では、
あまりにも前医の人格を否定しているのではないか?
という結論に達したのである。
ところが、転院先の主治医がデパケンRをすぐに中止してしまったらしい。そのうち病状が不安定となり、その患者さんが主治医に暴力を振るい大怪我をさせるという事件が起こった。すぐに措置入院になり、当時勤めていた病院に戻ってきたのである。
彼になぜそのようなことをしたのか聞いてみた。彼によれば、薬をこういう風にしてほしいと頼むのに、全然応じてくれなかったのでキレたと言う。
うちの病院でも時々転院患者が来るが、僕の場合、いかに多剤併用で不思議な処方でも最初はそのままに近いものを処方することが多い。なぜかというと、どんな風に見えても、その処方にはそれなりに意味があると思っているから。それと、そういう風な処方を急に変えようとしても、ろくなことにならないというのがある。
すごい多剤併用でも、直感的に容易に変えられないと思える処方もある。この時の事件だけど、このドクターは統合失調症なのになぜデパケンRなんて使ってあるんだろうと思って中止したのだと思う。怪我をしたドクターには気の毒だけど、あまりにも思慮がない処置が原因に思われた。
彼は確かに統合失調症なんだけど、体型的にはクレッチマーのいう闘士型体型であった。最近はあまり言われないけど、古典的には「闘士型-粘着気質-てんかん」という組合せがあるのである。
僕がまだ3年目くらいの頃だけど、ある公的病院で働いていたのであるが、同じ医局に神戸大学出身の先生がいた。彼とは今でも年賀状のやりとりをしている。彼は僕より経験年数が5年以上多かった。その同じ病院でたいして来ない女医さんがいた。「たいして来ない」というのは変な言い方であるが、つまり非常勤ということである。年配のドクターなので、経験年数は15年以上と思われたが。
その女医さんの得意技は、「他の人の持ち患者の100%処方変更」であった。それまでの薬をすべて中止し、突然、自分の好みの薬に変更してしまうのである。当時、その神戸大学出身のドクターと酒を飲んでいる時、その女医さん話題が出たことがあった。彼はニコニコしながら話していた。
「これはダメ!!って感じでしょ。」
「あれはいったい何なんでしょうね?」
確かに叱りつけるような処方変更ではあった。まだ新米の僕の処方を変えるならまだわかる。もう経験もあるその神戸大学のドクターの処方も、目に余るほど変更していた。その飲み会では、
あまりにも前医の人格を否定しているのではないか?
という結論に達したのである。