リスパダール70%の法則 | kyupinの日記 気が向けば更新

リスパダール70%の法則

僕が時々お手伝いをしている病院や、うちの病院に転院してきた人たちのリスパダールの減量を通じて感じたこと。

基本的にリスパダールの高用量(4mg以上)の人では、減量することで一時、悪化する人も多いが、そのような離脱を乗り越えるとほとんどの人で以前より精神症状が軽快する。それは不快感、不機嫌、希死念慮、倦怠感、EPSである。幻聴、幻視が改善することすらある。

この変化に有効な減量幅は案外小さく、極端に言えば、12mgを10mgに減量しただけでも改善することに驚く。これはちょっと不思議なことだが、結局は体が馴化していて薬が相対的なものになっているからであろう。

僕が外の病院で治療する場合、アウェーの戦いになるため、完全に中止が難しい場合も多い(参考)。そういう人でも例えば、6mgを4mg程度に減量しただけですごく体が軽くなり、かなり生活しやすくなる。このようなことは、今までにもいくつかエントリとしてアップしている(参考)。これを、リスパダール70%の法則と呼びたい。

実は不必要に多くの量を使われていることには理由があり、リスパダールは発売当初、12mgまでの範囲で処方できるように言われていたことが大きい。その後、論文などで、リスパダールの高用量は意味がないという通達が来たが、そこまでは徹底はされなかった。少なくとも、添付文書的には12mgが6mgに下げられたこともあり、全くアクションがなかったわけではない。この経緯やリスパダールの薬価がこの際に上がったことなどはルーランのエントリで書いている。

こういうこともあり、アメリカではリスパダールの処方量が下がってきているである。

ニューヨークの精神病院の入院患者の調査(mg)
         1998年    2004年
セロクエル    313     620
リスパダール   6.4     4.97
ジプレキサ    19.4     23.1


セロクエルは1998年から2004年の6年間で処方量が約倍になっている。ジプレキサは少し増えてはいるが、セロクエルほどではない。ところがリスパダールは大男が多いアメリカ人でさえ、平均5mgしか処方されず、1998年に比べても2~3割減少しているのである。

普通、外国の論文では驚くほどの高用量が使われていたりするが、これは西洋人、白人や黒人は体格も大きく、たくさんの量が飲める上に必要でもあるのである。ところが、日本人は体格、その他の理由で忍容性が低い。(参考

だから上の表でアメリカ人が平均5mgということは、日本人はその半分かせいぜい7割の2.5~3.5mgが望ましいのであろう。

そのような理由で、日本人にとって、リスパダール4mgは大量と言えるのである。