続きです。
「ペドロ様、いつの間に着替えたのです
か?」
「これから大切な客たちにアラゴンの歴
史について語るのだから王らしい恰好を
した方がいいだろう」
「僕の作った王冠はまだここに置いてあ
りますね」
「余の先祖、アラゴンの王について語り
終わった後で戴冠式をする」
「わーい、僕はなんだかワクワクしてき
ました」
「アラゴンのウエスカという都市にサン・
ペドロ・エル・ビエホという名の修道院が
ある。聖ペドロに捧げられた古い修道院と
いう意味だ」
「本当に古い修道院だ」
「修道院の柱は石の彫刻で飾られている」
「僕が木の実の装飾品の作り方を教えても
らった修道院とはかなり違います」
「この修道院にはアラゴン初代の王ラミロ
1世から5代目のラミら2世までの5人の王の
霊廟があった。余の遠い祖先だ」
「つまりハインリヒ様の遠い祖先でもある
わけですね」
「アラゴン王家の系図も書かれている」
「アラゴン建国の祖、ラミロ1世だ。アラ
ゴンの歴史はここから始まり、すべてのア
ラゴン王はラミロ1世の血を引いている」
「家系図がきちんと残されているなんて
すごい。ネズミの国ではしょっちゅう王は
変わり数も多過ぎるから記録など残ってい
ない」
「ラミロ1世はナバラのサンチョ大王の子
であったが、嫡子でなかったため、他の兄
弟に比べて狭い領土しかもらえなかった。
ラミロ1世はなんとかしてアラゴンの領土
を広げようとしたが、志半ばで戦死してし
まった。その後ピレネーの麓の小さな国
アラゴンは数世代かけて大国となった。
余、ペドロ2世の時代には洗練されたフラ
ンス宮廷の文化を持つ最も影響力の強い国
と言われたのだ」
「その大国、アラゴンの血をハインリヒ様
も引いていたのですね」
「甥の生涯の栄光と不運は神聖ローマ皇帝
フリードリヒ2世の子として生まれたことが
大きいが、アラゴンの歴史もまた無関係で
はない」
「・・・・・」
ーつづくー
写真は自分が2018年にスペイン旅行をした
時に撮ったものです。またアラゴンの歴史
については次の本を参考にしています。










