第一級のノンフィクション | ricky321のブログ

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『日本のいちばん長い日~決定版』半藤一利/文春文庫19-102
★★★★★最大の賛辞を贈りたい。記念碑的ノンフィクションである。
まず、巻頭の言が大宅壮一であるところからしてすごい。大岡昇平の『レイテ戦記』にも半藤の名が出てくるし、丸谷才一のエッセイにも半藤は登場する。今は亡き明治大正生まれの大作家から一目おかれた著者なのである。
※以下に示すとおり、平成の出版界功労者に愚生は半藤を選出した。

https://ameblo.mom/fukushi1231/entry-12479296879.html

 

ノンフィクションというジャンルにおいて肝心なのは、特定の人物や主義思想に肩入れしないこと。当たり前のことだが、基本は判明した事実に依り、致し方ない場合は推測もあって良い。この点、筆者はうまく文中の(注)を活かして、「いまだ謎のままである」と示したり、本文に挿しはさむとリズムが壊れそうなところを各々の章末で解説している。軍人、皇室関係者、官僚の別なく、丁寧に取材にあたったことが読み取れる。
時系列にしたがって、一時間区切りで皇居を中心とした麹町区(今日の千代田区)で起きた出来事を淡々と追うのだが、二二六と同じく、クーデターを企てる将校とそれを阻止したい軍人も居て、そのつばぜり合いが緊張感を生み、一気読みさせられた。

戦争が必要以上に長引いた(必要以上に死者を出したとも言える)のは、敗北と自分たちの誤りを認めたくないという歪な自尊心が政府と軍隊幹部にあったから、という至極簡単な結論に至る。だが、自分がその立場、たとえば陸軍大臣であったらまっとうな判断が下せるか。リコール隠しや不正な検査を行っている自動車メーカーの問題に置きかえてみてはどうだろう?

月並みな結びになるが、読者に問いかけるものが、この書籍にはある。