十八銀行とふくおかFGの合併が正式に決まった。合併というのはお題目に過ぎず、福岡銀行が十八銀行を傘下に収める(治める、と書いても良い)ということである。余談だが、小生の兄が母の死去とそれにまつわる手続きの為、福岡から当地・熊本に約1週間滞在していたが、「熊本銀行って名前の福岡銀行があるよ」と教えたら、手持ちのカードで手数料を払わずに現金を引き出せると喜んでいた。事実、福岡銀行の支店が熊本にあるのと変わらない。先に親和銀行と熊本銀行がふくおかFG入りを果たしているが、実質、福銀の営業エリアが拡大しているのと同じだろう。
現在、各雑誌、新聞などで平成の経済史を振り返る、といった特集が設けられている。確かに拓銀、長銀などの破綻は取り上げられているが、平成の始まりとともに、銀行法が改正され、相互銀行が第二地銀となった経緯は存外、忘れられているような気がする。先述の熊本銀行は、経営体力のなかった肥後ファミリー銀行(その前は肥後相互銀行)のなれの果てなのである。もともと経営地盤の強固さを欠く第二地銀は他行に吸収合併されていくことだろう。
公正取引委員会が、今回十八銀行の合併を認めたことで、恐らくはさらに地方銀行同士の合併は加速するだろう。そして銀行内部では人事や利害関係、ときにメンツを巡って行員同士の反目が起きるであろうことは想像に難くない。
前置きが長くなったが、今回の読書録。
19-003 『半落ち』横山秀夫/講談社
件の図書館の使い古しの10円の本。
直木賞候補作であったが、選考委員の北方謙三から「問い合わせたら警察内部や操作であり得ないとの返事をもらった」と発言し、それに対して横山本人が反発、「今後直木賞とは縁を切る」と揉めた上、該当受賞作無しとなったいわく付きの小説。
正直、非常に楽しめた。その一方、最終章のあっさりとした終わり方にがっかりもした。
県警の名誉を重んじた結果、事実が歪められようとしている殺人事件に対峙する刑事、検事、弁護士、新聞記者、裁判官、刑務官とその各々の所属する組織での大小の争いを描いた点がこの小説の肝であるし、よくできたところでもある。◎を付けた選考委員が田辺聖子と津本陽。
「推理小説としては謎が浅い。」「ヒューマニズムを訴える点では盛りあがりに欠け、加えて現実には不可能な設定があるとなると、リアリティーに欠け困ってしまう。最後に主人公の梶聡一郎の章が必要だったのではないか。」とは阿刀田高だが、この評が最も的を射ていると思う。