私が選ぶ桐野夏生のベスト5 | ricky321のブログ

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1,メタボラ
 沖縄に住んでいたことがあるから実感できた。何というマニアックな小説だろう。桐野は実際に現地(沖縄本島と宮古島)に何度も足を運んだだろうし、現地の人とかなり会話し、書きながら不自然な言葉はないか、チェックしてくれる人も必要だっただろうと思う。沖縄人気質も含め、非常に緻密なものに仕上がった。これが朝日新聞に連載されていた頃、山崎豊子『運命の人』も文藝春秋に掲載されたいたが、軍配はこちらに上がる。リアルな会話がこの本の魅力。山崎の方は会話が死んでいる。
 桐野夏生はまっとうに実力も評価され、様々な文学賞を受賞してきたが、これが無冠というのは何だろうか?私がNHKのお偉いさんなら、ラジオドラマ化してみたい。


 2,東京島
 孤島(つまり筆者お得意の封鎖空間)にたどり着いた男女の織りなす悲喜劇。尖閣に迫る中国の不気味な動きを強烈に風刺。同時に日本で徹底的な悪事を働く中国人犯罪者に怯える都会人の心理でもある。
 映画は木村多江主演と知って未見。木村が下手な役者なのでなく、不似合いだから。清川虹子が生きていれば若ければ、彼女以外に無い。

3,柔らかな頬
  遅すぎた直木賞受賞作。もっと早くに獲って然るべきだが。
 複雑な人間関係、性欲、名誉…諸々の人間模様。犯罪も美しさを伴うのだと読者に思わせる確かな筆力。

4,OUT
 彼女をスターダムにのし上げた一作。「だって殺しちゃったんだから仕方ないじゃない」からエスカレートする描写が見事。エンタメ作品ではどれだけ早く読めるか、といったことが、私は肝要だと思っている。一気読みできた本作はその条件を十分に満たしている。登場人物のキャラが際立っている。
 映画も原作と少しストーリーを変えてあるが、これはこれで面白い。原田美枝子と室井滋が好演。『学校の怪談』シリーズで子どもを沸かせた平山秀幸が撮った、大人のエンタテイメント作になっていた。小説と別物と割り切って楽しめる。

5,ナニカアル
 疑心暗鬼を小説にすれば…。この小説の主人公は林芙美子だが、林の実像に近いか否かは問題ではない。「こうだったのかな」と思わせれば、その時点で作家の勝ちだ。