1級ファイナンシャル・プランニング技能士の鬼塚祐一です。
連日、ニュースで「米主要3株価指数がそろって最高値を更新」「S&P500も連日最高値」といった華やかな報道が飛び交っています。
これを見て、
「早く自分もS&P500を買わないと損をするのでは?」
「今すぐ一括投資して老後資金の遅れを取り戻したい!」
と焦っている方も多いのではないでしょうか。
そのお気持ちは痛いほど分かります。
しかし、ここで世間の熱狂に流され、50代の方がS&P500などの株式100%の商品に一極集中するのは、非常に危険な行為です。
●なぜ、最高値の今、株式100%に全振りしてはいけないのか?
それは、株式投資の裏に隠された「残酷な算数」があるからです。
過去の歴史を振り返ると、リーマンショックの際、株式市場は約60%もの大暴落を記録しました。
もし今、全財産を株式に投じて60%の暴落に直面した場合、半分以下に減ってしまった資産を元の金額に戻すためには、なんと「150%(2.5倍)」ものリターンが必要になります。
そして、その回復には10年以上の長い歳月がかかることも珍しくありません。
20代や30代であれば、相場が回復するまで市場に置いたまま待つ時間があります。
しかし、定年が目前に迫っている50代にとって、10年以上の時間を失うことは、老後資金計画の完全な崩壊を意味します。
●では、どうすれば安全に老後資金を構築できるのか?
その答えは、極めてシンプルです。
株式100%の危うい橋を渡るのではなく、暴落時のクッションとなる安全な「債券」を組み込んだ【4資産分散投資】を行うことです。
投資の世界では、「株式と債券はシーソーの関係」にあります。
株価が暴落して世間がパニックになっている時、投資家は安全な資産に資金を逃がすため、逆に債券の価格は上昇する傾向があります。
このメカニズムを利用すれば、最悪の暴落時でも資産全体のダメージを最小限に食い止めることができます。
実際、私たちの年金を運用している世界最大級の機関投資家「GPIF」も、このセオリーに則り、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券にバランスよく分散投資を行っています。
GPIFの市場運用開始(2001年度)から2025年度第3四半期までの累積収益額は、なんとプラス196兆3,721億円に達しています。
https://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.html
ここで注目していただきたいのが、その収益の安定性を支えている内訳です。
この巨額な利益のうち、実に60兆2,838億円は「利子・配当収入(インカムゲイン)」によってもたらされているという事実です。
彼らが安定してこれだけの利益を出し続けられているのは、天才的なタイミングで売買しているからではありません。
価格が上下に変動したとしても、裏側で確実に利息を積み上げ続ける「手堅い分散の仕組み」を徹底しているからです。
●まとめ
世間が「最高値更新」と騒いでいる時こそ、冷静にならなければいけません。
目先の利益や熱狂に便乗するのではなく、自分の大切な老後資金を守るための「守り(債券)」をポートフォリオに組み込むこと。
これこそが、50代からでも手堅く、そして確実に資産を増やしていくための最強の最適解です。
業界最低水準の運用コストを目指し続ける「eMAXIS Slim」シリーズなどの低コストなインデックスファンドを賢く組み合わせ、ニュースに一喜一憂しない、あなただけの正しい仕組み作りに一歩を踏み出しましょう。












