1級ファイナンシャル・プランニング技能士の鬼塚祐一です。
今日の日経新聞を読んでいて、
「これはぜひ皆さんにも知っておいてほしい」
と思った記事がありました。
見出しは、
「荒れ相場、運用資産を見直す 個人向け国債で『安定』確保」
です。
最近、日経平均も米国株も値動きが大きくなっています。
こんな相場を見ていると、
「かなり上がったし、そろそろ売ったほうがいいのでは?」
「このままオルカンを持ち続けて、本当に大丈夫?」
「50代、60代で大暴落が来たら取り返す時間がないですよね?」
と不安になる方もいると思います。
そのお気持ちはよく分かります。
特に老後が近づいてくると、20代や30代のときと同じように、
「下がっても何十年でも待てばいい」
とは考えにくくなりますよね。
ただ、ここで私が一番お伝えしたいことがあります。
「株が怖くなったから売る」のではなく、「株を売らずに守りを増やす」という方法もあるんです。
その選択肢のひとつが、今改めて注目されている個人向け国債です。
「株価が高いから売る」が難しい理由
株価が高くなってくると、
「今のうちに利益確定したほうがいいのでは?」
と思いますよね。
でも、ひとつ問題があります。
今が本当に天井なのかは、誰にも分かりません。
高いと思って売ったあと、さらに上がるかもしれません。
逆に、持ち続けた直後から大きく下落するかもしれません。
未来の株価を正確に当てることはできないわけです。
だから私は、短期的な相場予測を基準に資産形成をすることはおすすめしていません。
基本はあくまで、
長期・分散・積み立て。
そして、もうひとつ大切なのがリバランスです。
株を売るのではなく「資産全体」でリスクを下げる
今回の日経新聞の記事では、非常に分かりやすい例が紹介されていました。

もともと、
世界株100%
だった資産を、
世界株80%+個人向け国債20%
に変更する方法です。
記事のイメージでは、世界株100%の場合、株価急落時の下落率のメドが年30〜40%。
これを世界株80%+個人向け国債20%にすると、資産全体の下落率は年20〜30%程度に抑えられるとされています。
もちろん、その代わり期待リターンも10%から8%程度へ下がります。
ここがものすごく大事です。
リスクだけ下げて、リターンは一切下げない。
そんな都合のいい方法ではありません。
リターンを少し抑える代わりに、大暴落したときのダメージも抑える。
これが資産配分を考えるということなんです。
特に50代、60代は、資産を「増やす」だけではなく、守りながら増やすという視点が重要になります。
実は、以前のYouTubeでも同じ考え方を解説しています
今回の日経新聞の記事を読んで、
「この考え方、以前YouTubeでもお話しした内容とかなり近いな」
と思いました。
以前、私は4資産分散投資について解説しました。
基本となるのは、
の4つに資産を分ける方法です。
そして、そのときに紹介したのが、
国内債券インデックスの代わりに、個人向け国債を使う
という方法です。
例えば、
という組み合わせです。
なぜ、こんな方法を紹介したのか?
理由はシンプルです。
国内債券の役割は、株式ほど大きなリターンを狙うことではありません。
資産全体の値動きを抑える「守り」の役割です。
その守りの部分に、元本割れを避けやすい個人向け国債を使う。
今のように個人向け国債の金利が上がってくると、この考え方は以前よりさらに現実的な選択肢になってきます。
今、個人向け国債が注目される理由
「国債って、金利が低い地味な商品ですよね?」
と思っている方もいるでしょう。
長い間、そう感じるのも無理はありませんでした。
ところが、今は状況が変わっています。
今回の日経新聞では、固定5年の9月発行分の利率が年2.06%と過去最高になったことが紹介されていました。
安全性を重視した資産でも、一定の利息を受け取れる環境になってきたわけです。
個人向け国債には、
の3種類があります。
1万円から購入できます。
また、通常の債券は金利が上昇すると価格が下がることがありますが、個人向け国債は中途換金時に国が買い取る仕組みがあるため、価格変動による元本割れを避けられるのが大きな特徴です。
「投資はしたい。でも、大きなマイナスはどうしても怖い」
という方にとっては、非常に分かりやすい守りの選択肢です。
私なら「全部売る」ではなく3ステップで考えます
では、株価の値動きが怖くなったとき、具体的に何をすればいいのでしょうか?
難しく考える必要はありません。
① 今の株式比率を確認する
まず、
自分の資産の何%が株式なのか
を確認してください。
NISAだけを見るのではありません。
預金、投資信託、国債などを含めて、保有資産全体で考えます。
オルカンを持っている場合も、
「世界中に分散しているから安心」
だけではなく、
資産クラスとしては株式100%
という点を忘れないでください。
② 30%程度下落しても持ち続けられるか考える
次に、
「もし1,000万円が700万円になっても、そのまま持ち続けられるか?」
と考えてみてください。
ここで、
「絶対に怖くなって売ってしまうと思う」
のであれば、今の株式比率が自分に合っていない可能性があります。
投資では、理論上最も高いリターンを狙うことよりも、
自分が長く続けられること
のほうが重要です。
③ 怖いなら「売る」のではなく、新しいお金で守りを増やす
そして3つ目です。
ここが今回の日経新聞でも紹介されていた「売らないリバランス」です。
例えば現在、
世界株100%
だったとしても、NISAの商品を慌てて売る必要はありません。
今後新しく投資するお金を個人向け国債に回していけば、
世界株90:国債10
世界株85:国債15
世界株80:国債20
というように、少しずつ資産全体のリスクを下げることができます。
「せっかくNISAで買った商品を売りたくない」
という方でも取り組みやすい方法ですよね。
ただし、個人向け国債も完璧ではありません
ここまで読むと、
「それなら債券部分は全部、個人向け国債でいいですね!」
と思われるかもしれません。
ただ、私は金融商品を販売していない完全中立な立場だからこそ、デメリットもきちんとお伝えします。
個人向け国債は、NISAでは購入できません。
また、クレカ積立や銀行の自動引落による自動積立もできません。
毎月購入したい場合は、自分で買う必要があります。
さらに、一般的な債券投信のように、株価が大きく下落したときに債券価格が上昇して株式の損失を補うことを期待する商品でもありません。
ですから、
「個人向け国債が最強だから全部これにする」
という話ではありません。
個人向け国債はあくまで、
株式とは別の役割を持つ「守り」の選択肢
です。
50代、60代に必要なのは「売る判断」より「続けられる設計」
相場が大きく動くたびに、
「今売ったほうがいい?」
「まだ上がる?」
「暴落する?」
と考え続けるのは、本当に疲れます。
でも、本来の資産形成はそういうものではありません。
自分が耐えられるリスクに合わせて、株式と安全資産の比率を決める。
ズレたらリバランスする。
そして、短期的な相場は必要以上に見ない。
この仕組みを作ってしまえばいいんです。
特に50代、60代は、
「もっと増やしたい」だけで株式比率を上げすぎないこと。
一方で、
「怖い」だけで株式を全部手放さないこと。
この両方が大切です。
最後に、もう一度やることを整理します。
① 現在の株式比率を確認する。
② 30%程度下落しても持ち続けられるか考える。
③ 難しければ、売る前に新規資金で個人向け国債などの安全資産を増やす。
まずは、この3つを確認してみてください。
相場を当てる必要はありません。
自分が安心して続けられる仕組みを作ったら、あとは戦略的放置です。
資産形成ばかり気にして毎日を不安に過ごすのではなく、仕事をして、家族との時間を楽しんで、旅行にも行く。
そのために投資をしているわけですから。
今日の日経新聞を見て、
「最近、株式の比率が増えすぎているかも」
と思った方は、一度確認してみて下さい。
売るか、持つかではありません。
どうすれば安心して持ち続けられるか。
ここを考えることが、長期投資では非常に重要です。
