今上映中の映画で『エアベンダー』というのがあるのを御存知ですか?
気,水,火,土の四つの世界がバランスをとりあっているという世界感が舞台になっています。四つの国にはそれぞれの要素をあやつるベンダーという能力者が居るのですが、その上に四つのすべてをあやつるアバターという能力者が居ることでバランスをとっているのです。現在のアバターは気の国に生まれたのですが、人並みの生活をできないことを苦にしたアバターである少年は隠れてしまいます。その機に乗じての火の国が他国の侵略を始めてしまうところから事件がおこります。少年は修業の途中で逃げ出していたために気の能力しか使えない「エアベンダー」なのですが、再度修業を始めて火の国の侵略に対抗しつつ成長していくという物語です。続編に続くという形で終わるのでまた三部作というパターンなのでしょうか?
監督は『シックスセンス』のM.ナイト.シャラマンで、『ロード.オブ.ザ.リング』のスタッフが製作にあたったというものです。
ここであげておきたいのはふたつのことです。
まずひとつには、この映画の世界観にある四つの世界というのは地.水.火.風という「四大」がモチーフになっています。これは西洋の五行ともいうべきものですが、たとえば中世の錬金術師はこの四大をあやつるのが目的であったとも言われます。この四つはそのまま東洋の五行にあてはめるとひとつ足りなくなるのですが、映画の世界では、
土→「土」+「金」
水→「水」
火→「火」+「金」
気→「木」
という感じになっています。映画のクライマックスでは水の国で月の精霊に命をささげる王女が出てきますが、つまりは水という究極の陰が、支配しようとする横暴な陽である火に対峙するという形をとります。それがそのままアバターである少年の力へと変化していくのです。つまりは四つの世界のことをテーマにとりつつ陰陽のバランスという事がテーマになっています。
五行を勉強したい方にはなかなか参考になる映画であると思います。
もう一つあげておきたいのは「アバター」という存在についてです。つい先日も『アバター』という映画が上映されてヒットしましたが、製作時期から見てほぼ同時期にアバターという主題にとりくんだふたりの監督が居たということになります。
なぜ、いま、アバターなのでしょうか?
もともとアバターという言葉はヒンズー教の言葉で、『大聖』ということです。いつの時代にも周期的にやってきて大いなる教義を授けるということになっています。映画『エアベンダー』の中では、チベットのダライラマのように転生しつつ必ず生まれてくる存在として描かれていますが、今という時代にふたつのアバター主題の映画が出たということは、人々の中に「大聖願望」とでもいうべきものがあるのでしょうか?
ちょうどイエスが登場した時代はユダヤ人たちの中に救世主願望が最高潮に達した時であったと言われますが、今もこれに似ているのでしょうか?
五行的には「土」から「水」というタイミングが現在であると私はたびたび述べていますが、このタイミングでの救世主とは、単に人々をすくい上げる存在ではなく、今までの常識を見直せ!ということを私たちに強いるはずなのです。何が人間として正しいことなのかをもう一度反芻せよ!ということです。たとえば、お金がすべてという発想は正しいのか…とか、唯物的な世界観や医療態度が正しいのか…とか、しいては男女の一対のみが正当で、結果として結婚し、離婚して…というような陰陽の対峙のしかたが正しいのか…とか、などです。
現実世界においてアバターのような救世主が実際に現れるかどうかはなんとも言えませんが、少なくとも私たちは目に見えないフルイにかけられることは間違いないでしょう。
学校で習ったことや、常識として疑いももっていないような事柄の中にも、実は私たちの人間的な成長を著しく阻害していることもたくさんあるのです。ひとつひとつ五行というものさしを使って測っていきたい…と私は思っています。