このまえの日曜日(3月7日)、だるまんの読み解き講習会第一期が終了しました。ご参加してくださったみなさん、ありがとうございました。この講習会は昨年(平成21年)の9月から始めたので、ちょうど半年間やったことになります。半年を通じて毎月、「だるまんの陰陽五行」に描かれている陰陽五行の神髄を話してまいりました。好評なのでまた7月から第二期として応用編をお話していく予定ですが、その間にもいくつか講習会がありますので、興味のある方はホームページをごらんになってください。http://plaza.harmonix.ne.jp/~theo/zadan.html
最終回でお話したのは五行の相剋ルートという流れは実は「負けを知る」ということを意味しているのだという話でした。
相剋という言葉は「相手を殺す」というあまり気味の良いものではありません。これはたとえば「木剋土」という相剋ルートでは「木」が「土」を殺す(「木」が「土」に勝つ)という形で説明します。臓器で言えば「木」は肝で「土」は胃なので、アルコール依存症になる位、肝が傷むと胃は食べ物を消化できなくなるという意味です。しかし、いくら「木」の肝が「土」の胃に勝ちやすいといっても、我々の日常で胃が消化できなくなっては大変です。だから肝は楽勝な相手である「土」にあえて負けるということをするのです。たとえばアルコールを取るときはツマミをとりながら食べて胃を働かせるようにするということです。従って、相剋ルートというのは一見、勝ち負けを言っているようで、その実は「勝てる相手にあえて負けることで相手を生かし、ものごとを潤滑に運ぶ」という事を言っているのです。このことがわかると五行の相剋ルートというのが、どれほど示唆に富んだ意味合いをもっているのかということがわかってきます。
たとえば落語ではこういうことを「三方一両損」という言葉で語っています。なかでも古典落語に「井戸の茶碗」というのがあります。これはまさに「負けを知る」という話で、お互いに正直に、奪うことを良しとせず、ときには損をしあうことで本当のコミュニケーションができ、暖かい世界ができあがるということを言っているのです。五行の相剋ルートを彷彿させるお話です。なんでもよいから単に勝てば良いのだという現代の風潮はいかに、本当の人間の道からはずれているかを教えてくれるお話となっています。
ちょっとウィキペディアから引用してみます。
屑屋で正直者の清兵衛が、清正公様の脇を「屑ぃ、お払い」と流し歩いていると、なりは粗末なものの器量のよい上品な娘に声をかけられる。招かれて裏長屋へ行くと、その父親(千代田卜斎)から、屑の他に仏像を200文で引き取ってもらいたいと頼まれる。目利きに自信がないと清兵衛は断るが切願される。清兵衛は200文で引き取り、それ以上で売れた場合は、儲けの半分を持ってくると約束する。
仏像を籠に入れ、街を流し歩いていると、細川屋敷の長屋下を通りかかったところで、「おい屑屋」と若い勤番(高木佐久左衛門)に声をかけられる。「カラカラと音がするから、腹籠りの仏像だ。縁起が良い」と言い、その仏像を300文で買い上げる。
高木が仏像を一生懸命磨いていると、台座の下の紙が破れ、中から50両もの小判が出てくる。中間は運がよいと喜ぶが、高木は「仏像は買ったが、中の50両まで買った覚えはない。仏像を売るくらいであるから暮らし向きも逼迫しておられよう。元の持ち主に返したい。」と言う。しかし元の持ち主が分からない。そのため、この仏像を売った屑屋を探し、やっとのことで清兵衛に出会う。
清兵衛は高木から事の真相を聞き、千代田の元へ50両を持っていく。
千代田は50両を前にして、「仏像を売ってしまったのだから、中から何が出てきても、私のものではない」と受け取らない。清兵衛は、「この50両があれば、娘さんにもっとよい着物を着させることもできる」と言うが、刀に代えても受け取らないと突っ返されてしまう。
清兵衛は高木へ50両を持って帰るが、こちらでも受け取るわけにはいかないと突っ返され、困り果ててしまう。裏長屋の家主が仲介役に入り、「千代田様へ20両、高木様へ20両、苦労した清兵衛へ10両でどうだろう」と提案する。しかし、千代田はこれを断り受け取らない。「20両の形に何か高木様へ渡したらどうだろうか」という提案を受け、毎日使っていた汚い茶碗を形として、20両を受け取る。
この美談が細川家で話題になり、高木が細川様へ目通りを許され、茶碗も見てみたいと言われる。汚いままでは良くないと、茶碗を一生懸命磨き、細川様へ差し出した。すると、側に仕えていた目利きが「青井戸の茶碗」という逸品だと鑑定する。細川様はその茶碗を300両で買い上げた。
高木は300両を前にして、もらうべき金ではないと困ってしまう。「このまま千代田様へ返しても絶対に受け取らないであろうから、半分の150両を届けて欲しい」と清兵衛に頼む。高木に切願された清兵衛は、しぶしぶ千代田に150両を持っていく。千代田は受け取るわけにはいかないと断るが、困り果てた清兵衛を見て、「今までのいきさつで高木様がどのような方かはよく分かっておる。娘を嫁にめとって下さるのであれば、支度金として受け取る」と言う。
清兵衛は高木の元へ帰り経緯を伝えると、千代田の娘であればまずまちがいはないだろうと、嫁にもらうことを決める。そこで清兵衛が、「今は裏長屋で汚いなりをしているが、こちらへ連れてきて一生懸命磨けば、見違えるようにおなりですよ」
「いや、磨くのはよそう、また小判が出るといけない」