東京日本橋にある鍼灸治療室クリスタ、院長のかとうようこです。
「肩こりのツボを押したら楽になった」
「頭痛のときにツボ押しをすると少し落ち着く」
そんな経験をしたことがある人は多いと思います。
でも!
疑問に思いませんか?
『そもそもツボって、体の中で何が起きているの?』
昔から東洋医学では重要な考え方として用いられてきたツボですが、現在では解剖学や生理学の視点からも、その作用について研究が進められています。
今回は、現在考えられているツボの作用について、
できるだけわかりやすくご紹介します。
解剖学的にツボとされる部位を見てみると、
- 末梢神経の終末
- 毛細血管
- 結合組織
などが比較的豊富に存在していることがわかっています。
疲労やストレス、体調不良などが続くと、その部分の血流が低下し、筋肉の緊張も高まりやすくなります。
すると、
「押すと痛い」
「なんとなく硬い」
「違和感がある」
といった反応が現れることがあります。
「あ、ここ痛い!」とついつい押したくなるあの場所って実は体からの小さなサインだったりします。
それは5000年前のミイラ・アイスマンもツボに入れ墨をしていたとか...
そのあたりについては昔のブログで取り上げていました。
ツボに適度な刺激を加えると、「軸索反射(じくさくはんしゃ)」という神経の反応が起こると考えられています。
これは、刺激を受けた神経終末から血管を広げる物質が放出され、局所の血管が拡張する現象です。
その結果、
- 血流が増える
- 酸素や栄養が届きやすくなる
- 老廃物の排出が促される
など、局所の環境改善につながる可能性があります。
「肩を押してもらったら温かくなった」という感覚は、このような血流変化が関係しているのかもしれません。
ツボ刺激の影響は、押した部分だけにとどまらないと考えられています。
刺激を受けた神経終末は、自律神経を介して脳へ情報を伝えます。
特に、視床下部と呼ばれる部位は、
- 自律神経の調節
- ホルモン分泌の調節
- ストレス反応の制御
などを担当する重要な場所です。
こうした働きによって、体全体のバランス調整に関わっている可能性が示唆されています。
脳には、もともと痛みを調節する仕組みが備わっています。
ツボ刺激によってそのシステムが活性化すると、
「痛みを感じにくくする」
方向へ働くことがあります。
そのため、
「痛みそのものが消えた」というよりは、
『同じ刺激でも、以前ほどつらく感じなくなった』
という変化として実感されることもあります。
人間の脳は実に働き者です。眠い月曜日の朝に出勤する私たちより、よほど真面目に仕事をしています。
近年注目されているのが、「ポリモーダル受容器」という神経終末です。
これは、
- 押される刺激
- 熱さや冷たさ
- 炎症などによる化学刺激
など、さまざまな刺激に反応できる受容器です。
現在、
「ツボ刺激の効果を受け取っているのは、このポリモーダル受容器ではないか」
という仮説があり、研究が進められています。
ただし、ツボの作用についてはまだ完全には解明されておらず、今後の研究によって新たな発見が期待されています。
現在考えられているツボの作用をまとめると、
- 疲労やストレスでツボ周辺の血流が悪くなる
- ツボを刺激すると軸索反射によって血流が改善する
- 神経を介して脳へ信号が伝わる
- 自律神経や痛みを調節する仕組みが働く
- 「楽になった」「痛みが和らいだ」と感じる
という流れになります。
ツボは、「不思議な点」や「魔法のスイッチ」としてではなく、
神経・血流・脳の働きが複雑に関わり合って生まれる身体の反応として理解されつつある
のが、現在の科学的な見方です。
東洋医学の知恵と現代医学の研究が少しずつつながり始めている今、ツボについての理解もこれからさらに深まっていくのかもしれません。
「なんとなく効く」から「なぜ効くのか」へ。
自分の体に少し興味を持ってみると、
いつものツボ押しもまた違った見え方になりますよね。
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