《前編》 より

 

 

【「どうやって食っていくんだ」】
 「家住期」から「林住期」に切り替えるとして、問題になるのが、
 「どうやって食っていくんだ」ということです。
 そのことはさすがの無謀な私とて考えました、しかしこれは、意外と何とかなるのではないかと思うに至ったのです。
 というのも、これからの大きな日本の社会問題は「人口減少」と「空き家」の増加です。(p.98-99)
 これを読んだから、著者は50歳で退職した後、地方に住んだのかと思ったら、相変わらず都市部での賃貸住宅暮らしなのである。まあ、暫定段階ということらしい。
 因みに、空き家率日本一は山梨県であり、チャンちゃんが住む甲府市から10km程北西側の地域は、地方都市とは言えないけれど田舎とも言えず、富士山も八ヶ岳も駒ケ岳も最も綺麗に見える景色のいい所。チャンちゃんは、近年、新しい住人が徐々に増えつつある70件ほどの集落で生活しているけれど、この集落の中心部には、今現在3件の空き家がある。そのうち2件は、即入居可能状態らしい。おまけに自家菜園をもちたいなら、周辺に年間2千円程度で借りられる耕作地などいくらでもある。
 著者のような「林住期」の生き方を志す女性たちが、ダイアン・レインが主役を演じていた『トスカーナの休日』のように、複数集まって同居生活をしようとするなら、すぐにでもそれを実現できる地域である。このような地域は、日本中探せばいくらでもあるだろう。
    《参照》   『下流志向』 内田樹 (講談社) 《後編》
              【「支え合う社会」の再構築】

 

 

 

【「ない」ことの豊かさ】
 私は頑張って「ある」世界を追求してきた。「ある」ことが豊かだと思い、そのために働いておカネを一生懸命稼いできた。しかし「ない」ことにも豊かさがあるとしたら、それはいったい何だったんだと。
 そう気づき始めた私は、次々と電化製品を捨て始めました。(p.105)
 かなりアクティブな断捨離を実行したらしい。
 電子レンジは蒸し器で、ホットカーペットと電気こたつは湯たんぽで代用できると書かれている。
 電子レンジって、チャンちゃんもめったに使わない。玄米を基本食にしていると、一度炊いた玄米と水が入った土鍋の上にお惣菜を乗せていっしょに温めることができるから要らないのである。そして、チャンちゃんは電気こたつを豆炭こたつに代えてもう3度目の冬を終えるところである。ひと冬の豆炭代は約8000円。よって電気代は年間通じてひと月3000円程である。節電のメリットのみならず、豆炭ごたつの方が電気ごたつよりズット暖かいのである。(このブログを書いた翌年、「マイカ岩盤浴」という輻射熱暖房機を使ってみたら、たいそう心地よい暖かさだったので、これを堀炬燵の中に入れてみたら、もう最高! だもんで、豆炭からマイカ岩盤浴の堀炬燵に変えてしまった。)
 冷蔵庫廃棄については、冬場はそもそも不要で、夏場は保存できないから買い物の量が極端に減ったと書かれている。
 レジへ持っていくのはせいぜい2種類。値段も500円以上払うことはほとんどありません。何も買わずに出て来ることも珍しくなくなりました。・・・中略・・・。
 いったい今まで、カゴいっぱいの何を買っていたんだろう。(p.107)
 チャンちゃん家の平常時の食費は、一人ひと月1万円以下。一人年間11万円程度である。畑で野菜が取れる時期は、食材を買うことはないからである。だとしても、ビールだのお菓子だのを多量に買い込んでいるような不経済常習性のある愚か者では到底無理だろう。
  《参照》  『持たない贅沢』 山崎武也 (三笠書房)
  《参照》  『夢からはじまる』 羽中田昌 (集英社)
          【「ない」が、多くのものを与えてくれる】

 

 

【早期退職者の退職金と失業保険】
 退職金の一部は税金の支払いを「控除」されるのだが、この控除額は、勤続年数が長いほど増える仕組みになっているのだ。つまり、安倍首相は「チャレンジできる社会」などと言っておられるが、制度としては、一つの会社にずーっと勤め続けしがみつくほど税金を払わなくていい仕組みになっているのだ。
 つまり、会社から自主的に自立、独立する人間には国家からペナルティーが科されるのである。何かこれって言ってることとやってることが違いすぎないか。(p.140)
 まったく。
 しかし、若者世代は、終身雇用になどこだわっていないから、退職金などそれほど念頭にないだろう。それに、非正規雇用であれば、最初から退職金などないのだし。
 次は、失業保険給付について。
 ところがですね、調べてみると失業保険はなんと、別の会社に就職しようとしている人間だけが受け取ることができるのであり、個人で独立して生計を立てようとしている人間には受給資格がないというのだ。
 つまり失業保険とは、我が国の大人を「会社」というシステムに押し込むためのシステムだったのである!!(p.142)
 生まれた時からノー天気なチャンちゃんは、「お金のために生きるのはマッピラ」と思っていたから、入社一年目から「会社や先輩社員がどうであれ、残業などしない」という決然とした態度でとおしていたものである。そして勤続3年目を区切りに最初の会社を「自主退職」した時、事務のオバちゃんが頼んでもいないのに「会社事情による退職」にしてくれたから、翌月から失業保険の給付を受けることができて、6か月間、図書館に通うだけの極楽トンボ生活をしていたものである。ところが、給付が停まると翌月は家賃が払えないことに気づいたから、やむを得ず再就職したのである。後に、二度目の正社員退職をした時から契約社員を選択していたから、「林住期」を選択したのを機に、著者のような退職金ショックはまったくなかった。

 

 

【経済成長が人間にもたらすもの】
 「あったら便利」は、案外すぐ「ないと不便」に転化する。その結果、経済成長に巻き込まれた人間は、どんどんモノに依存しないと生きられない体になっていく。
 つまり、経済成長は、日本人の自立ではなく、依存を生んでしまったのではないか。(p.171)
 モノを消費する側ではなく、モノを生産し売る側から見ても、同じである。
 即ち、給料という「麻薬」を打たれ続けることでしか生きられない、「麻薬中毒=給料依存」になってしまっているだろう。
 会社⇔銀行⇔国家というのは、経済を回しつつ税金を取るためのグル・グル・リンク・システムなのだから、会社を辞めるからには、経済活動からでて、国家の保障なしでも楽しく生きてゆく決意が必要である。
  《参照》  『デフレ不況の正体』 日下公人 (KKベストセラーズ) 《後編》
          【歴史の変わり目】

 

 

【ステップダウン?】
 正直、人生において「ステップアップ」ならぬ「ステップダウン」は初体験です。それに自分が耐えられるか、正直不安でした。引っ越しは2万5千円で、すげえ荷物が少なくていいですね~と引っ越し屋の兄ちゃんに褒められたのが唯一の心の支えでした。
 しかしですね、私、全然大丈夫でした! 惨めでもなんでもありません。いやむしろ落ち着きます。・・・中略・・・。この調子なら、次はもっとボロくて狭い家でも楽しく暮らせるスキルを身につけられるかもと思うと夢が広がる。東京では何と言っても家賃負担が大きいですからね。(p.184-185)
 チャンちゃんは、都内に住んでの家賃負担は最大のデメリットと判断したから、トットト実家に戻った。だから家賃ゼロ。
 実家に戻っていいと思ったことは、鳥がやってくる庭があることくらいで、いくつも部屋のある広い家は全く不要である。昔も今も、6畳程度のひと部屋があれば十分と思っているから、敷地内の空いている箇所に、薪暖房でオフグリッドのチャンちゃん小屋を試作的に作るつもりで、薪ストーブもソーラーパネルも蓄電バッテリーも購入済みである。木材も、家屋新築工事中の西甲府住宅のアンちゃんに声を掛けたら、「そこの部材、曲がってて使えないから全部もってっていいよ」と言われて、4mほどの2×4の木材を10本もタダでもらってしまった。ついでに端切れ木材も薪暖房用としてたんまりと。これぞ完璧なウイン・ウインである。今年中には完成するだろう。
 お金、電力、食品、この3つについてオフグリッドする(社会と縁を切る)こと。これができてさえいれば、人生は自由自在である。昔流のいい方で言うなら、風流な生活ができるのである。
 必要最小限の生活スペースをオフグリッドで実現することは、「ステップダウン」どころか、社会進化に向けた先例として立派な「ステップアップ」である。
 経済的な成功者に向かっての「ステップアップ」など、何の意味もなかったことを、10年後には、全ての日本人が知るようになることだろう。

 

 

【旅を終える】
 で、肝心なのは「旅を終える」ことなのではないでしょうか。旅はいつかは終わる。旅から卒業する日が来る。そのことを決して忘れてはいけない。
 そうじゃないと、旅に依存することになります。旅の居心地がいい場合は特に注意しなければならない。
 寝袋やテントに泊まる旅なら心配ありませんが、行く先々で居心地のいいホテルが準備されていたりすると、旅に出ていることも忘れ、困難に立ち向かう必要もなくなり、ただ旅をダラダラ続けていることが目的になってくる。(p.200-201)
 ここで言っている「旅」が、正社員として経済生活を謳歌することなのは言うまでもない。
 しかし、これまでに何度も書いてきたように、自分が属する会社が倒産でもしない限り大丈夫と思っている人は、そうではないということ、つまり、多くの会社が崩壊する時期が、遅くとも10年以内に迫っているかもしれない、ということを前提として、この本を読んでおいた方がいいだろう。
 ウルトラ・ノー天気なチャンちゃんとはいえ、単なる老婆心でこの読書記録を書いているのではない。
 そもそもチャンちゃんはチンチン付きだし、おジイちゃんおバアちゃんという程の年でもない。

 

 

【本書を知ったきっかけ】
 本書を知ったのは、地球に生まれた宇宙人へ(お金の法則) というYouTube動画の最後(18:33~)で、この本が紹介されていたから。
 この 「地球に生まれた宇宙人へ」シリーズ の動画に辿りついて耳を傾けつつ画面の文字を読んでいたような人々なら、本書に記述されている著者の心の軌跡を辿りつつ、自分自身の生き方を再検証することができるでしょう。

 

 

<了>