
おもしろい旅関連の読み物だけれど、具体的に役立つ情報はあまりない。『深夜特急』 のように内面に潜入してゆくような記述はないので、メンタルには何も残らず、本当に面白いだけで終わってしまう。2000年5月初版。
【ヒマラヤで一番キツイこと】
ネパールのエベレスト街道をトレッキングしたときのこと。水は貴重である。シャワ―なんて当然ない。
ネパールのエベレスト街道をトレッキングしたときのこと。水は貴重である。シャワ―なんて当然ない。
そうして何とか無事に股間を清潔にしても、その後履くのは結局さっきまでと同じパンツなので、そうなると様々な事情によりパンツ側に移っていたいろいろな汚れが、エントロピーの法則というか濃度のバランスから考えて、今度は清潔になった私の体の方に里帰りしてくるのではないかというような科学的な不安も少しよぎるのであった。(p.31)
いくら軽装優先の長旅とはいえ、パンツの5枚くらいもってきゃいいのにね。今では100円ショップで5個入り100円の使い捨て紙パンツなど容易に手に入るけれど、1990年代はそんなものすらなかった。
だがしかし、ヒマラヤのトレッキング中で一番きついのは、股間を洗うことではなく、実は何よりも退屈との戦いである。(p.31)
日の出とともに行動を始め、安全のために午後2時には行動を終了しているのが普通。電気などないから午後2時から朝まで本当にすることがないのである。近代文明に毒されている日本人には、これがキツイ。
【自動車を見たら、バスじゃないと思え】
まあ、つまり、分かっていながらついつい遭遇してしまうことってある。複数回海外へ一人旅に出たことのある人はお気楽にゲラゲラ笑いながら、自分も似たようなことを経験しているのである。
こうして私は、8年ぶりのインドでまたあらたな教訓をひとつ学んだのだった。その教訓はこうだ。
『自動車を見たら、バスじゃないと思え』
当たり前のようだが、とても深い。(p.87-88)
爆笑してしまったのだけれど、ここだけ書き出しても訳分かんないだろう。『自動車を見たら、バスじゃないと思え』
当たり前のようだが、とても深い。(p.87-88)
まあ、つまり、分かっていながらついつい遭遇してしまうことってある。複数回海外へ一人旅に出たことのある人はお気楽にゲラゲラ笑いながら、自分も似たようなことを経験しているのである。
【ミャンマーのフォークソング「タウンパンパインメーシゴ」】
「タウンパンパインメーシゴ」は、やはり鳥に関係した歌であることもわかった。「タウンパン」が翼で「メーシゴ」が恋人で「パイン」は不明だが、全体で「翼があればあの人のもとへとんでいくのに」という意味らしい。ラブソングだ。(p.116)
「知らないのか、タウンパンパインメーシゴだ」と私が教えてやると、
「知ってるさ、ロド・スチュワートだろ」と見当違いなことを言う。
「違うよ。君の国の歌だ」
「ああ、歌詞はそうだけど、その歌はロッド・スチュワートのコピーさ」
え、ロッド・スチュワート?
驚いた。何ということだ。ミャンマーのフォークソングと思って覚えたのに、ロッド・スチュワートなのか。別にロッド・スチュワートに恨みはないが、何だか裏切られたような気持である。そうか、アカ抜けてると思った。(p.117)
原曲のタイトルは書かれていないけれど、歌詞の内容からして、 『セイリング』 だろう。「知らないのか、タウンパンパインメーシゴだ」と私が教えてやると、
「知ってるさ、ロド・スチュワートだろ」と見当違いなことを言う。
「違うよ。君の国の歌だ」
「ああ、歌詞はそうだけど、その歌はロッド・スチュワートのコピーさ」
え、ロッド・スチュワート?
驚いた。何ということだ。ミャンマーのフォークソングと思って覚えたのに、ロッド・スチュワートなのか。別にロッド・スチュワートに恨みはないが、何だか裏切られたような気持である。そうか、アカ抜けてると思った。(p.117)
【チベットの鳥葬】
鳥葬って自然任せと思っていたから意外である。
さていよいよ白い布が剥がれ、死体があらわになった。解体担当の男が三人、ハゲワシが食べやすいように、剣のような長い包丁で肉をそぎ落としていく。解体担当以外にも十人以上の男たちがいて、何をしているのかというと、長い棒やひもをぶんぶん振り回し、十分に解体される前にハゲワシが殺到しないよう見張っている。・・・中略・・・。
死体が登場したときから、ハゲワシたちは徐々に鳥葬台近くににじり寄って、今では見張りの男たちの前でマラソンのスタートみたいに集まっている。彼らの間には号砲前の緊張感が漂っていた。(p.143-144)
死体5つに対してハゲワシが2,3百羽と書かれている。死体が登場したときから、ハゲワシたちは徐々に鳥葬台近くににじり寄って、今では見張りの男たちの前でマラソンのスタートみたいに集まっている。彼らの間には号砲前の緊張感が漂っていた。(p.143-144)
鳥葬って自然任せと思っていたから意外である。
【ユーラシア大陸横断の旅を阻んだもの】
これで、ユーラシア大陸横断が頓挫してしまった。
下記は、あとがきに書かれていたこと。
ところで、現在の日本は、福島で毎日核実験が行われ続けているようなものである。意図的に放射能が播かれているのである。著者の思いに則して言えば『わたしの国に何をする』となるけれど、疑うことをしない善意ボケ日本人の未来を亡きものにする計画が着々と実施されているのである。
イラン国境へのバスが出ているバローチスタン州のクエッタという町でバスチケットまで購入したところで、まったく予期していなかった邪魔が入ったのである。
核実験だ。 (p.158)
核実験場とバスルートの距離は50km程度だったらしいけれど、そこを驀進するかどうかは個人の判断。核実験だ。 (p.158)
これで、ユーラシア大陸横断が頓挫してしまった。
下記は、あとがきに書かれていたこと。
『わたしの旅に何をする。』というタイトルは、いつも何かに巻き込まれて思い通りにいかないその納得いかなさを言葉にしたつもりだ。
かなでも一番納得いかなかったのはパキスタン政府の核実験で、・・・中略・・・。まさに、わたしの旅に何をすると言いたい気分である。(p.250)
自問自答的な意味合いのタイトルなのかと思ったら、つまりこういう事だった。かなでも一番納得いかなかったのはパキスタン政府の核実験で、・・・中略・・・。まさに、わたしの旅に何をすると言いたい気分である。(p.250)
ところで、現在の日本は、福島で毎日核実験が行われ続けているようなものである。意図的に放射能が播かれているのである。著者の思いに則して言えば『わたしの国に何をする』となるけれど、疑うことをしない善意ボケ日本人の未来を亡きものにする計画が着々と実施されているのである。
【台湾でのマッサージ】
ところで、この本の著者も書いているけれど、台湾のマッサージには、本当に手加減というものがない。施術後は、“スッキリ”というより、絶句したまま“涙チョロリ”という感じである。吉本の芸人さんなら「殺さんといて~~~」って大騒ぎするだろう。
痛がるツボによって体の悪いところがわかるのも足裏マッサージの特徴であるが、私の場合は小腸が悪い、膀胱が悪い、ノドが悪い、頭が悪いなどと診断され、最後のはギャグかと思ったら、マッサージのおばさんの目が笑っていなかった。本当に頭が悪いらしい。(p.183)
チャンちゃんは足裏ではなく全身のマッサージというか指圧をやってもらったことがある。猫の親分に通訳してもらいつつ事前に悪いところを伝えながら最後に指さして「頭も悪い」と言ったら、「そこは治せない」と即答されたことがある。希望を持たせる程度の配慮はあってもいいだろうに。ところで、この本の著者も書いているけれど、台湾のマッサージには、本当に手加減というものがない。施術後は、“スッキリ”というより、絶句したまま“涙チョロリ”という感じである。吉本の芸人さんなら「殺さんといて~~~」って大騒ぎするだろう。
【ブルネイの遊園地】
オープン間もない頃は、相当混んだんだろうけど、無料でいつでも乗れるとなれば、もうさんざん乗り尽くして国民全部が飽きちゃったんだろう。
ジェットコースター大好き人間は、ブルネイ観光に行き、ジュルドンパークで「もう飽きた~~」って思えるまで乗り続けましょう。
ブルネイはボルネオ島にある小国で、観光資源はないに等しいが遊園地はなかなかのものだ。・・・中略・・・ブルネイのジュルドンパークはかなり近代的でサスペンデッドコースターまである。・・・中略・・・。
日本でなら1回最低千円はとられるそのサスペンデッドがブルネイではタダ。遊園地の入場料もいらない。(p.223)
インドネシア海域にあるカリマンタン島の大部分はインドネシアの国土だけれど、北部はマレーシアで、その中の一部がブルネイという国になっている。豊かな石油で財政を賄っているから遊園地もタダ。熱帯域は熱いので開園は夕方の5時以降。
日本でなら1回最低千円はとられるそのサスペンデッドがブルネイではタダ。遊園地の入場料もいらない。(p.223)
ブルネイは敬虔なイスラム国でディスコや歓楽街といった娯楽の場がないから、みんな遊園地で遊びまくっているはずである。まずい。(p.223)
と思いきや、開園時間の5時になってもガラガラで、結局一人で乗ったと書かれている。オープン間もない頃は、相当混んだんだろうけど、無料でいつでも乗れるとなれば、もうさんざん乗り尽くして国民全部が飽きちゃったんだろう。
ジェットコースター大好き人間は、ブルネイ観光に行き、ジュルドンパークで「もう飽きた~~」って思えるまで乗り続けましょう。
【テレビ取材】
テレビ取材に関して、「旅行人」の編集長である蔵前さんからアドバイスをもらったことも書かれている。「旅行人」はバックパッカーのための月刊誌だけれど、近年のインターネットの発達によって、休刊が続いているらしい。
《参照》 『ホテルアジアの眠れない夜』 蔵前仁一 (凱風社)
実はこのたび、TBSの「ニュース23」で自費出版ブームを取り上げることになったらしく、『旅の理不尽』を自費出版した、偉大な私を取材させてもらいたいという申し込みがあったのだ。(p.67)
著者には、上記の他に『東南アジア四次元日記』という著作もある。テレビ取材に関して、「旅行人」の編集長である蔵前さんからアドバイスをもらったことも書かれている。「旅行人」はバックパッカーのための月刊誌だけれど、近年のインターネットの発達によって、休刊が続いているらしい。
《参照》 『ホテルアジアの眠れない夜』 蔵前仁一 (凱風社)
【旅の変容】
近年でも海外の一人旅をしている日本人の若者は決して少なくないだろうけれど、格差社会が確立してしまった分、資金的余裕が断たれ長期旅行者は減っていることだろう。
それに、21世紀になって急速に意識が変容しつつあるように思う。アウター・ワールドを旅するより、インナー・スペースに意識を向ける人が増えているはずである。海外体験する費用に比べたら、インナー・スペースを旅した記録を残してくれている ブルース・モーエン や 坂本政道さん や その系譜にある人々 の書籍を購入するのは安いものである。
モノ・カネから離れた意識を醸成しておくべき時代になっている。現在と同様な世界に留まるのか、シフトした世界に進むのかは、個人の意思次第。
近年でも海外の一人旅をしている日本人の若者は決して少なくないだろうけれど、格差社会が確立してしまった分、資金的余裕が断たれ長期旅行者は減っていることだろう。
それに、21世紀になって急速に意識が変容しつつあるように思う。アウター・ワールドを旅するより、インナー・スペースに意識を向ける人が増えているはずである。海外体験する費用に比べたら、インナー・スペースを旅した記録を残してくれている ブルース・モーエン や 坂本政道さん や その系譜にある人々 の書籍を購入するのは安いものである。
モノ・カネから離れた意識を醸成しておくべき時代になっている。現在と同様な世界に留まるのか、シフトした世界に進むのかは、個人の意思次第。
<了>
ブルース・モーエン著の読書記録
坂本政道・著の読書記録