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 本を読む気になれないときの中谷書籍。短い章立てと無駄を省いた短文で記述されているから、トロンとした頭でも内容が伝わってくる。私ごとのウンザリするような小説を読んですっかり読書スランプになってしまった時の回復剤として読むのにいい。
 年齢差は20歳ほどあるけれど、それぞれに多量の書籍を出しているお二人の対談。

 

 

【当たると砕かれる日本】
 フルブライト留学生だった竹村さん。帰りにヨーロッパをまわって帰りたかったので、そんなリクエストをした。
 そうしたら、「フルブライトはアメリカへ留学するためであって、ヨーロッパまわりのキップを出した例がない」 と言われたのです。
 そこで僕は、「アメリカに来て、勉強してわかったのは、ヨーロッパを知らないと、本当にアメリカを知ることができないということだ。比較が必要だ」 と言ったんです。 (p.54)
 結果的にOKになった。
 アメリカというところは、「はっきり言うべきことを言うと、今までに例がなくても、やってくれる体質がある」 というのを発見しました。 ・・・(中略)・・・。「当たって砕けろ」 というのを僕は体験しましたね。
 ところが、日本へ帰ってみると、当たっても、いつもこっちのほうが砕かれるというか、日本というのはなかなか通らない国だということも体験しました。(p.55-56)
 日本人、特に公務員は、前例がないことをしないのが正しいと思っているらしい。これこそが、新しい時代へ向けての変革を拒む最も愚鈍な態度なのだけれど、こんなことにすら気付けていない人々が少なからずいる。
 少なくともそれぞれの時代で最も輝いていた企業経営者達は、かつてのアサヒビールの樋口さんのように、「前例がない。だからやる」 とか、サントリーの佐治さんのように、あらゆる斬新な提案に対して 「やってみなはれ」 というメンタリティーをもっていた。
 企業家たちが日本丸を強力に推進させ、公務員たちは日本丸に寄生し航行を遅らせる。昔も今も変わらぬ図式である。

 

 

【吉本流は分かりやすい】
 学生時代から、竹村さんに学んでいた中谷さん。
 吉本の木村さんとお会いして、中谷彰宏の本はなんでわかりやすいかという話になった。
「僕は竹村さんから学んでいるし、藤本義一さんや堺屋太一さんも、みんな吉本流なんですよ」
 という話をしたのです。
 それは大阪ということです。
  ・・・(中略)・・・ 、「普通の人にわかりやすく、エンターテイメントとして伝える」 という意味においては、吉本流で、共通です。
 関西人はたとえ話が多い。(p.151-152)
 これを読んで、サンマさんが女優さんを招いてのトーク番組で 「いまどき、そんな赤い服が似合うのはポストと君くらいなもんやで」 と言っていたのを思い出した。意外な発想の例え(話)は、面白いし印象が強いから長く記憶に残る。文学小説を読んでいても、絶妙な比喩表現というのはストーリーを忘れてしまっても覚えているものである。
 中谷さんも竹村さんも関西人である。
 吉本興業の木村さんの対談本の読書記録があったからリンクさせておく。
   《参照》   『「人をつくる」という仕事』 テリー伊藤・木村政雄 (青春出版社)

 

 

【インプットで人間を見る】
 私は、人間を見る時は、インプットで見ます。
 人間の哲学は、アウトプットよりも、インプットに差が出ます。(p.163)
 対談者のお二人が始めて会った時、
 「どういうバックグラウンドなの?」 と(竹村さんに)言われました。
 成功している人は、ほとんどそういう言い方をします。
 アサヒビールの樋口廣太郎名誉会長とお会いした時も、「なんでああいうことが書けるの?」 と聞かれました。
 普通は、書いたものに対する自分の意見を述べる人が多いのです。
 それはアウトプットについての関心があるからです。
 でも、成功している人は、「どうしてこれができるのだろう」 と思います。
「そのインプットはどうやっているのか」 ということに興味があります。(p.164)
 つまり芸術家魂とでもいうのだろう。成功している人というのは、創ること創造することに興味ある人々なのである。創られたものに対してあれこれ言っている人は芸術家ではなく、単なる評論家である。
 (竹村さんは)自分の意見ばかり語って、人のいうことを聞いてないような印象をもちがちですが、そんなことは全然ありません。
 対談の中でも、竹村さんは、「そういう話してよ」 「教えてよ」 とたびたび言われました。
 それが、実は竹村建一さんのスタンス、哲学なのです。(p.178-179)
 企業家たちの多くは、好奇心の大切さを語っているけれど、とりもなおさずこれらは創造に繋がっているからである。インプットが途絶えた時、アウトプットも途絶え、同じことの繰り返しになるのである。学ぶことを止めてしまった人間に創造はできない。
 中谷さんも竹村さんも非常に多くの書籍を出しているけれど、それだけインプットに時間を割いてきている証拠な訳である。

 

 

【力を抜いて、好きなように生きる】
 竹村さんが好きなことをやるのは、「負けず嫌い」 とも違う。
 勝ち負けにこだわらないのです。
  ・・・(中略)・・・ 
 負けてもいいんじゃないのという力の抜け方はすごい。
 力は入っていません。これは、ゴルフのスイングの極致です。まさにゴルフクラブがタオルのようになる感覚です。(p.221)
 竹村さんは、勝ち負けにも意図した物事の結果にもこだわらない方なのだという。ということは、常に体から力が抜けており、気の通りやすい体質を維持しているということでもある。
 ボーリングをしていると、力を抜くことがいかに大事か分かります。
 軽い球を使ったほうがいいかというと、そんなこともありません。重い球を持つと、力を抜かざるをえません。重さに負けて、自然に投げられることがあります。
 ゆっくり投げて、パタパタとストライクをとる女性がいます。
 すごいフォームでガーンと音がしているのに、たいして倒れない人もいます。
 力を入れることの空しさに、どこかで早く気づくことです。(p.222)
 我力というのはエネルギーの空費と同じでかなり空しい。
 ボールの重さと重力を利用してダウンスイングの接線上で自然にリリースすすれば8割方ことはなるのである。注意すべき点といったら回転力と方向性が正確に伝わるよう、自分の指の太さに合った穴のあいたボールを選ぶということくらいだろう。
 中谷さんも、船井総研の小山さんもボーリングを通じて様々なポイントを学びとっているらしい。クリエイティブなことをしようとする人々は、書物以外からでも様々なことを学んでいる。
           【関西圏最大のボーリング場の秘密】
 
<了>