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 あまり本を読む気になれないときでも、この著者の本は読める。スッキリした書き方なので、お脳が鋭敏ではない状態であっても頭に入ってくるからである。
 


【幻影と化すアメリカン・ドリーム】
 従来の対米観を覆すような記事が、イギリスの「エコノミスト」誌に乗っている。
 収入格差の拡大と同時にアメリカン・ドリームの基礎となる社会的流動性も低下している。さらに父と子の年収の相関関係は、欧州やカナダよりもアメリカの方が強いという調査もあるという。「実力主義」の本家であるアメリカ社会に起きつつあるこうした異変に注目しておきたい。 (p.52~54)

 メイフラワー号に乗ってやってきた被支配階級が新大陸に上陸して200数十年。かつて理想であったものを覆い尽くすようにして人間の欲望が現実を作り出す。西欧の階級社会を出て創られた新大陸の社会が、西欧を上回る階級社会になったとしても、なんら不思議はない。それが社会的人間の性というものであるから。


【篠田雄次郎】
 日本財団がまだ笹川財団を名乗っていた頃、篠田雄次郎という日本人が理事長になったことがあるという。篠田氏がドイツの政財界の幹部に電話をしただけで話がパパッと決まったということが何回もあったという。
 「この男は何者だ」。豪放磊落で知られる笹川会長が驚嘆したという。実は篠田氏はドイツの秘密結社のメンバーだったという。
 政治や外交は一本の線だけではなく、複数の線を絡み合わせて考えていくことが必要だ。世界には、こういってかたちの人脈の作り方もあることを知っておいて損はない。 (p.73)

 これと同じようなことを、日下公人さんが、『国家の正体』という本の中に書いていた。日下さんは秘密結社という言葉は使っていなかったけれど、日下さんと竹村さんのお2人はお友達どうしなので、情報ソースはあるいは共通なのかもしれない。


【欧米が認めた日本の中国に対する「謝罪」】
 中国での反日暴動以来、日中関係に関する記事が、過去にないほど欧米のメディアを賑わわせている。興味深いのは、欧米メディアが日本の過去の謝罪を客観的に報じていることだ。
 『フィナンシャル・タイムズ』誌は、1972年、田中角栄首相「深く反省している」。82年、宮沢喜一官房長官「遺憾の意」、90年天皇自身が韓国で「痛惜の念」。95年には村山首相がアジアに対して「深い謝罪の意」。97年、橋本首相が村山談話を踏襲。小泉首相は2001年の首相就任以降お詫びを繰り返し表明した。
 これらの事実を連ねた後、同誌はこう論評している。<これらの謝罪が韓国における日本の植民地支配、中国への野蛮な侵攻、戦争捕虜への虐待、従軍慰安婦への売春の強制にまで及んでいることを考えると、日本がその暗い歴史を公式に否定してきたと(中国・韓国政府が)言い続けることは難しいだろう。 (p.130)

 多くの日本人達は、「謝罪」ばかりを繰り返す日本の政治家の態度に不愉快を感じていたはずである。しかし、欧米のメディアは、繰り返された「謝罪」が証拠となって、中・韓の傲慢に釘を刺す効果アリとして評価しているのである。


【『ニューヨーク・タイムズ』のコラム】
 200年の秋に、中国に対する批判的な記事が掲載された。
 中国は自国の歴史を歪曲し、自分たちの都合のいいように国民に教えている。例えばチベットへの侵略やベトナムとの戦争など、自国から仕掛けていったことは伏せておいて、第二次大戦時の南京大虐殺など、事実の何倍もオーバーに被害を受けたように国民に思わせるなど、あまりにも独りよがりである、と断じた。 (p.140)

 このようなことは、日本人で政治に興味がある人々には、当たり前過ぎて今更語ることすら面倒に思えるほどである。しかし、このような事実を、「反日」を行っている当の中国や韓国の国民が知らないということが問題なのである。

 

<了>