※『母という呪縛  娘という牢獄』の感想です。

本の内容が含まれ、虐待表現が出てきます。

 

 

壮絶な教育虐待を描いたノンフィクション。

 

『母という呪縛 娘という牢獄』

 

 

 

 

▼本を予約したときの話

右矢印教育虐待『母という呪縛 娘という牢獄』

 

▼本が貸し出されたときの話

右矢印貸りられたが…『母という呪縛 娘という牢獄』


 

読了した直後の感想です。




  酷い話だが、読むに耐えられるか?

 

 

試験結果が母親の思い通りにならないと

熱湯をかけられる。

 

模試の結果が偏差値に届かない分

鉄パイプで殴られる。

 

あかりさんは凄惨な暴力を受け続けた。

決して実写化することができないであろう実生活。

死んだように生きた日々だと想像する。

 

しかし、物語にはそれ以上の描写はあまりない。

 

(母に指から出血させるように命じられ、

「血文字の反省文」を書かせられたことは付け足す)


 

あかりさんは「精緻な」などの言葉を自然に使う。

操る語彙は豊富で、とても理性的。

何度家出しても連れ戻される絶望を味わう。


そんな彼女の綴る気持ちは論理的で柔らかい。

虚無感も重なってだろうか?

読み手を決して攻撃しない。

 

私の恐怖心は、その配慮に救われている。




 

  どこまでもあかりさんに同情する

 

母から送られたラインの文章が載っている。

一つ読んだだけで面倒臭さ極まりない文面に嫌気がさす。

自分の考えた反省文をあかりさんに捏造させる異常性。

母はどこまでも狂っている。

 

母もまた、

渡米した母に捨てられた被害者だ。

しかし、同情はできなかった。


あかりさんが5浪のとき、

母は睡眠薬を飲んで自殺未遂をしている。

 

そのまま助からなければ、

あかりさんが重罪を犯すこともなかったのに

と感じたのが正直な気持ち。


そこから虐待はむしろエスカレートするからだ。




 

  9浪の謎

 

気になっていた。

9浪もした間の大学受験の合否は?

 

驚いたことに、

センター試験の結果が母の思い通りでなく

二次試験を受けさせてもらっていない年が複数ある!


 

あかりさんは現役で

滋賀医科大学の医学部看護学科に

合格できる実力があった。


9浪の末、その看護学科に主席で合格。


10〜20代の1年の重みを想像するに

絶望感は計り知れない。

 

 

真夜中に何時間も罵倒した挙げ句、

冬の庭で土下座させる。


娘が隠し持っていたスマホを破壊。

ラインで「死ね!」と送る。


成績向上とは真逆の母の行動。

娘の人生の全てを支配。

罪が重いのは母の方ではないのか。




 

  希望を持てる描写

 

明るい希望が持てるような描写は?

というと難しい。

 

大学1・2年の頃は母娘で旅行もしたようだが

母は「看護師ではなく助産師になる」

という条件つきの娘を受け入れただけ。


「こんなにも私を騙し、裏切り続けられた」

といつも娘を罵るが、

本気で自分が被害者だと信じている母は恐怖だ。

 

 

そんな中、私の好きな場面がある。

やっと大学生になったあかりさんが、

同級生のコミュニティーで癒される場面。

 

母は看護師という職を差別し、ひどく蔑む。

「人のオムツを交換する職」と罵る。


看護師と関係ない私でも不快。


その影響を受けて育ったあかりさんだが

看護を志して入学してきた同級生は

教養があり、医療者となる意志が高く、


9浪した自分に距離を置くのではなく

対等に接してくれたと感じている。

 

同級生に恵まれたような一節には、

少しだけ安堵した。


牢獄と外に繋がりがあったなら

あかりさんを助け出すチャンスは、

もしかしたらあったかもしれない。

 

同じような犯罪で苦しんでいる子どもが

恥ずかしいと思わずに、

訴えることができるだろうか?

 

その受け皿となる組織がある。

そういう社会整備の必要性も感じた。

 

 

 

 

▼本を予約したとき

右矢印教育虐待『母という呪縛 娘という牢獄』

 

▼本が貸し出されたとき

右矢印貸りられたが…『母という呪縛 娘という牢獄』

 

▼虐待児とほんの少しかかわったときの話

右矢印児童虐待 保護されたその先で