やがてネットから離れ・・
過去ログで、「ブログ1日5回更新」に出てきた患者さん。
彼女は、その後、なんとなく着地してすっかり落ち着いてしまった。浮ついた状態がなくなり穏やかに生活している。学校も成績優秀で卒業できたらしい。
調子の悪い時はいくつかブログを立ち上げて更新も頻繁であった。診察時も多弁で、こちらがいろいろ言っても反抗的だったし、最も悪い時期は母親も付いてきて、目の前で口喧嘩を始める始末である。
あの幻聴つきの躁状態(1型と2型の真ん中くらい)に最も有効だったのはリーマスである。
リーマスは最高1000㎎使ったが、最後の200㎎アップが良かった。800から1000㎎の増量が大違いだったのである。(参考1、参考2)併用薬は過去ログにもあるがロナセンだけである。
そうして、長く続いた躁状態と幻覚が消えてしまった。
落ち着いてくると、携帯電話のブログも更新を止めてしまい、それどころか退会してしまった。今は友人とのメールだけである。
今は専門学校の受験勉強(正確には資格試験)をしているようであるが、そう難しい資格ではないので取得できる思う。
このような経過をみると、あの「1日5回更新」は疾患性から来るものであり、彼女のその時の精神症状をよく表現していたと言える。
彼女は非定型精神病でもなく、広汎性発達障害でもなく、統合失調症である。それもタイプ的には破瓜型と思う。しかし躁うつを伴うタイプという点で予後良好といえる。
しかし僕が治療するまで、彼女はそんな風ではなかったのである。つまり躁うつなどあまり目立たないほど破瓜型を呈していた。僕がいろいろ薬を弄ったため、彼女は、
いったん躁転してみた。
ような経過であった。その後は病状が変化し、統合失調症というより、症状にバイオリズムが出てきて双極性障害っぽくなった。また彼女の本来の性格が明瞭に現われるようになったのである。これはある種の再生といえる。
彼女は必ずしも薬で強引に押さえ込まれていたという風ではない。ただ、現在は当時より抗精神病薬の総量は少ない。ずっと以前はセレネースやリスパダールであったが、その後ジプレキサやエビリファイを投与されていた時期もある。しかしどの薬も長期的には芳しくなかったようである。
過去の治療履歴から、少なくとも、多め量のリスパダールは精神面を安定させることはわかっていた。しかしいくつかの欠点があるのである。それは肥満と情緒が乏しくなることと、表情が薬物的に硬くなることである。
過去の治療と僕が始めた治療の決定的な相違は、気分安定化薬を併用するかどうかである。一時期、ルーランやロナセンの単剤も試みたが、結局はリーマスを併用する方が精神症状が落ちつくし、幻聴も止まり活動的になり学校にも行けることがわかった。
しかし厳密に言えば、あれこれ薬を変更していたために次第に躁転模様となり、気分安定化薬を使わざるを得なくなったと言うのが正しい。成り行きでこのような処方になったのである。
このように統合失調症で、べったりと破瓜型然としている患者さんは、いったん偶然でも良いから賦活して、その後うまく軟着陸させると以前とは精神症状が様変わりすることが多い。けっこう時間が経っていてもそれは可能である。(過去ログのこの人とか・・)
これはちょっとプロレスっぽいと思う。ジャイアント馬場の16文キックは片足を前に突き出しているだけで外人レスラーは全く避けることなく、見事に顎にカウンターになる。あれは八百長ではなくプロレスはああいうスポーツなのである。
結局、ある種の人為的躁転(薬物の操作によるが)は、最初からデザインされており、最終的には寛解に向かわせる。下手な精神科医が同じことをすると、そのまま墜落するリスクもけっこうある。(プロレスに例えると大怪我をする感じ。プロレスは日頃しっかりトレーニングをしていないと、本当に試合中に死にかねない)。
たまにうちの女医さんと話すのであるが、この人為的賦活のコントロールのコツは、特に破瓜型だと、患者さんのヒトとしての輪郭を残しつつ治療を進めること。ここが極めて重要である。
乱暴な薬物中断や急速な減量は、空中分解を起こし、知情意が本当にバラバラになりかねないから。
彼女が最近言っていたのであるが、
治療を開始してまだ3年なのに、学校を成績優秀で卒業できたし、資格の勉強も順調にいっている。体重も60kgが52kgになった。ひょっとしたら・・先生は名医かも・・
(2人で大笑い)
今日は、本当はこれが言いたかったのであるが、患者さんは精神症状が落ち着き、やがてネットから離れ、このブログなど読まなくても良いようになるのが理想。
たぶんインターネットは、メンタルヘルスの人々にはマイナスの方が大きいと思うよ。
ほぼ、毎日更新している人がこんな風に言うのも変だけど。
参考
躁状態と連動する幻聴
少量薬物療法の功罪
まず双極性障害のように・・
森を見て治療を進める
治療イメージについて
彼女は、その後、なんとなく着地してすっかり落ち着いてしまった。浮ついた状態がなくなり穏やかに生活している。学校も成績優秀で卒業できたらしい。
調子の悪い時はいくつかブログを立ち上げて更新も頻繁であった。診察時も多弁で、こちらがいろいろ言っても反抗的だったし、最も悪い時期は母親も付いてきて、目の前で口喧嘩を始める始末である。
あの幻聴つきの躁状態(1型と2型の真ん中くらい)に最も有効だったのはリーマスである。
リーマスは最高1000㎎使ったが、最後の200㎎アップが良かった。800から1000㎎の増量が大違いだったのである。(参考1、参考2)併用薬は過去ログにもあるがロナセンだけである。
そうして、長く続いた躁状態と幻覚が消えてしまった。
落ち着いてくると、携帯電話のブログも更新を止めてしまい、それどころか退会してしまった。今は友人とのメールだけである。
今は専門学校の受験勉強(正確には資格試験)をしているようであるが、そう難しい資格ではないので取得できる思う。
このような経過をみると、あの「1日5回更新」は疾患性から来るものであり、彼女のその時の精神症状をよく表現していたと言える。
彼女は非定型精神病でもなく、広汎性発達障害でもなく、統合失調症である。それもタイプ的には破瓜型と思う。しかし躁うつを伴うタイプという点で予後良好といえる。
しかし僕が治療するまで、彼女はそんな風ではなかったのである。つまり躁うつなどあまり目立たないほど破瓜型を呈していた。僕がいろいろ薬を弄ったため、彼女は、
いったん躁転してみた。
ような経過であった。その後は病状が変化し、統合失調症というより、症状にバイオリズムが出てきて双極性障害っぽくなった。また彼女の本来の性格が明瞭に現われるようになったのである。これはある種の再生といえる。
彼女は必ずしも薬で強引に押さえ込まれていたという風ではない。ただ、現在は当時より抗精神病薬の総量は少ない。ずっと以前はセレネースやリスパダールであったが、その後ジプレキサやエビリファイを投与されていた時期もある。しかしどの薬も長期的には芳しくなかったようである。
過去の治療履歴から、少なくとも、多め量のリスパダールは精神面を安定させることはわかっていた。しかしいくつかの欠点があるのである。それは肥満と情緒が乏しくなることと、表情が薬物的に硬くなることである。
過去の治療と僕が始めた治療の決定的な相違は、気分安定化薬を併用するかどうかである。一時期、ルーランやロナセンの単剤も試みたが、結局はリーマスを併用する方が精神症状が落ちつくし、幻聴も止まり活動的になり学校にも行けることがわかった。
しかし厳密に言えば、あれこれ薬を変更していたために次第に躁転模様となり、気分安定化薬を使わざるを得なくなったと言うのが正しい。成り行きでこのような処方になったのである。
このように統合失調症で、べったりと破瓜型然としている患者さんは、いったん偶然でも良いから賦活して、その後うまく軟着陸させると以前とは精神症状が様変わりすることが多い。けっこう時間が経っていてもそれは可能である。(過去ログのこの人とか・・)
これはちょっとプロレスっぽいと思う。ジャイアント馬場の16文キックは片足を前に突き出しているだけで外人レスラーは全く避けることなく、見事に顎にカウンターになる。あれは八百長ではなくプロレスはああいうスポーツなのである。
結局、ある種の人為的躁転(薬物の操作によるが)は、最初からデザインされており、最終的には寛解に向かわせる。下手な精神科医が同じことをすると、そのまま墜落するリスクもけっこうある。(プロレスに例えると大怪我をする感じ。プロレスは日頃しっかりトレーニングをしていないと、本当に試合中に死にかねない)。
たまにうちの女医さんと話すのであるが、この人為的賦活のコントロールのコツは、特に破瓜型だと、患者さんのヒトとしての輪郭を残しつつ治療を進めること。ここが極めて重要である。
乱暴な薬物中断や急速な減量は、空中分解を起こし、知情意が本当にバラバラになりかねないから。
彼女が最近言っていたのであるが、
治療を開始してまだ3年なのに、学校を成績優秀で卒業できたし、資格の勉強も順調にいっている。体重も60kgが52kgになった。ひょっとしたら・・先生は名医かも・・
(2人で大笑い)
今日は、本当はこれが言いたかったのであるが、患者さんは精神症状が落ち着き、やがてネットから離れ、このブログなど読まなくても良いようになるのが理想。
たぶんインターネットは、メンタルヘルスの人々にはマイナスの方が大きいと思うよ。
ほぼ、毎日更新している人がこんな風に言うのも変だけど。
参考
躁状態と連動する幻聴
少量薬物療法の功罪
まず双極性障害のように・・
森を見て治療を進める
治療イメージについて