夕空菜月の虹色オアシス -2ページ目

夕空菜月の虹色オアシス

美術鑑賞、読書が趣味です。
絵を描くこと、詩や文章を書くこと
写真を撮ることを楽しんでいます。

 

これまで生きてきて、J.D.サリンジャーの
『ライ麦畑でつかまえて』を
ずっと読みそびれていた。
ティーンエイジャーものという
先入観が強かったので、10代の頃に読んで
いなければ、それ以降はもう読み時はやって
こないと思っていながら、この本をどこかで
目にしては気になっていた。
でももう10代ではないし若くもないし、
という感じでずっとスルーしていた。
それが先日、ついに読もうという気になったのは、
サリンジャーの短編集『彼女の思い出 /逆さまの
森』をとある小さな書店で見つけ、この短編集が
良かったのでサリンジャーのことをもっと
知りたくなったからであった。
その書店というのは、神戸の須磨海浜公園の
近くにある「自由港書店」で、この書店を
訪れるようになったのは(といっても三宮とか
よりは遠いので、訪れたのはこれまでのところは
2回だけ)、エミリー・ディキンスン関連が
きっかけだったけれど、先日はディキンスンの
翻訳詩集の近くにサリンジャーのその短編集が
一冊置かれていたのが目に留まり、何気に
手に取ってパラパラっとページをめくってみると、
読んでみたい気になったのだった。
因みに、『ライ麦畑でつかまえて』の中で
エミリー・ディキンスンの名前が1度だけ
出てきたので、この私の現実のエピソードとの
重なりを思った。他の複数の作家の名前も
出ていたけれど。

 

私は半世紀以上生きてきて、全くといっていいほど
サリンジャー本人について知らなかった。
それで、ネットで調べてみることにした。
1919年に、アメリカのニューヨークで、
ユダヤ系の父とスコットランド・アイルランド系の
母との間に生まれ、第二次世界大戦中は
ノルマンディー上陸作戦に従軍するなど、
兵士として真に迫る戦争体験をし、そのことで
精神を病んでしまった時期もあった。
この深い戦争体験が作品の根底に流れていると
思うし、だからと言って全てを戦争体験から
解釈できるものでもないけれど、サリンジャーの
小説に強く興味が湧いた。
また小説の随所に鍵となるモチーフやエピソードが
散りばめられていて、謎解きをしてみるのも面白いと
思った。けれど、小説そのものを味わうことを
大切にしたい。J.D.サリンジャーの小説は、
『ライ麦畑でつかまえて』以外は全て短編で、
その中にはやはり好みのものとそうでないものも
ある。まだ全部を読めていないけれど(全部は
読まないかもしれない)、3冊読んでみて思ったのは
悲しみや切なさの感情が押し寄せながらも、
読後にじとっとした湿り気みたいなものが残らず、
アメリカの乾いた風土のように、カラッとした
読後感で、湿度が低めなのがいいと思った。
またネット情報だけれど、J.D.サリンジャーが
影響を受けた作家のうちの一人に、私が好きな
ロシアのアントン・チェーホフがいたのも
なるほどなんとなくわかると思った。

 

そして『ナイン・ストーリーズ』の最後の物語
「テディ」では意外にも東洋思想が表れていて、
汎神論的な考えも見られ、スピノザを思い
起こさせた。
私はスピノザの本は読んでいないけれど、
解説動画でその汎神論的な哲学を聞きかじっていた。
二人ともユダヤ系だし、顔もどことなく似ているし。

 

 

ということで、近々は無理そうですが、
また後々に改めて本の感想を書きたいと思います。
 

冒頭に書いた須磨海浜公園の海です。
自由港書店は、JR須磨海浜公園駅と
この海の間にあり、書店も海も駅から
徒歩圏内なのが嬉しいです。

 

 

 

 

最近、この絵を描いていました。
「雨あがりのエーゲ海」です。

34cm x 24cm  画用紙

 

 

 

2019年に遺跡巡りのギリシャ旅行をした際に、
アテネのピレウス港発着の1日エーゲ海クルーズも
含まれていました。
船に宿泊する旅はしたことがなく苦手ですが、
日帰りのクルーズは楽しかったです。
乗船してしばらくすると雨が降ってきて
旅の終盤だったからか疲れも出て、船酔いで
気分が悪くなってきました。
外の空気に当たると良くなるかもとデッキに
出てみました。すると次第に雨が止んできて
気分も上昇し体調も回復して、船内での
ランチも美味しく食べることができたので
よかったです。旅行中ずっとギリシャ料理は
美味しかったです。

 

そんな思い出の雨あがりのエーゲ海を描きました。
旅行からもう7年近くも経っていますが、
実はもっと前に描いていました。
それが後々になって描き直したいと思っていて、
構図も少し変えて、私の絵の具の塗り方も少し
変わってきたので、また違う感じの絵になりました。

 

海に浮かぶ岩のような白い島が
スフィンクスのようにも思えて印象的でした。

 

海の絵を描く画家で、私が特に素晴らしいと
思うのはロシアのイヴァン・アイヴァゾフスキー
(Иван Айвазовский)です。
到底真似はできませんが、少し意識してみました。

 

2018年に東京で行われていたロシア絵画展
「国立トレチャコフ美術館所蔵 
ロマンティックロシア」
で初めてアイヴァゾフスキーの絵を鑑賞して
購入したポストカードです。
嵐の海ですが、波が美しく全体に神秘的で
引き込まれました。

 

 

 

絵の学校には通ったことがなく、自己流で描いて
いますが、絵画鑑賞や画集が先生です。
画家の方々のお話を伺うのも勉強になります。
40代の時からゆっくりペースで描いてきましたが、
もっと若い頃から描き始めていたら、習いに行って
いたと思います。
いや、もし習いに行っていたら、
むしろ根を上げていたかもです。

私は特に読書家ではないけれど、1年ぐらい前から、
私の頭では理解が追いつかないような本も読んでみよう、
読んでいくうちに理解力が養われるかもと
スローペースでありながら、何冊か読んできた。
そして数か月前に文学系YouTuberからの影響で、
トーマス・マンの『魔の山』を読んでみたいと思い
手に取った。

 

 

 

本を購入したのは今年の1月だったが、今もまだ読書中で、
私が読むのが遅いというのもあるけれど、途中で
他の本に目移りしていたからでもある。
そしてやっと7章まであるうちの第6章まで読み終えた。
第6章の最後は、主要人物のうちの一人が死を迎え
しんみりした気分に浸り、一つの大きな節目であった。
第7章がまた普通の本一冊分ぐらいの量があるけれど、
また最近読みたい本が増えたので、読み終わるのは
いつになることやらと思う。

 

登場人物の哲学的な会話も多く難しいけれど
スイスの自然の厳しさや美しさの描写が素晴らしい
というような一面もある。
時は第一次世界大戦前で、スイスの山岳地域にある
架空の「ベルクホーフ」という結核療養所が舞台の
ハンス・カストルプという青年が主人公の物語である。
この療養所には欧州各地から患者が集まっていて、
ロシアからの患者も何名かいる。
私はロシア語をラジオ講座で独学中なので
この設定に興味が湧き、主人公とその従兄弟が
2人ともロシア人女性に惹かれるというのも面白い。
特に主人公は、西洋人離れした少しアジア系っぽい
容姿の人物に惹かれる傾向があるようで、
東方という未知への憧れのようなものを表しているのかも
と思った。

主人公ハンス・カストルプは、哲学的思想を持つ
年長者同志の議論や激論から影響を受けながらも、
一人で雪山に挑んで現実的な過酷な体験へと自らを
追い込んだり、親しい人の死を経験したりして
第六章まで読み終えて、人として成熟してきた
ハンス・カストルプの姿が目に見えるようだった。

 

また、今の時代に都市伝説とか陰謀論として
知られている秘密結社の名前がいくつか
出てくるなど、その謎めいた存在にも思いを
巡らせてしまう。

 

この主人公にどのような運命が待っているのか
フライングして知ってしまっているけれど
文章を味わって最後まで読み通したい。

 

 

最近見た白い藤の花です。

スイスの山に降る白い雪に見立てて。