司法通訳の誤訳について | SC神戸中国語スクール 京都校

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一般社団法人 関西司法通訳養成所の養成講義を受講し、参考となる書籍を読み、現在の司法通訳が抱えている問題点を知るようになったのですが、今も、日々、司法通訳のレベルというか、誤訳というか、能力というか、また、通訳を使う側の問題も含め、様々な問題があることがわかります。

 

養成講義で教えてもらったのは次の事案。

 

事件通訳ミス なぜ起きたのか - 関西テレビ放送 カンテレ

(事件の詳細以外に、関西司法通訳養成所の清水真代表も写真入りでコメントしています。)

 

具体的な通訳ミスについては以下に紹介しますが、これは、

 

第65回:取調べ「可視化」の「現在」(大阪弁護士会月報2017年6月号)

 

から抜粋しています。

 

 

こういう事案では殺意があったのか、それともなかったのかが焦点になりますが、そこを文字通り(というか発言者の意向通り)に通訳していないというのは致命傷です。

 

なぜ、通訳ミス(誤訳)が発生したのか?

通訳人の能力の問題はもちろんあるでしょうが、この問題には様々な複雑な問題が絡んでいます。

第65回:取調べ「可視化」の「現在」(大阪弁護士会月報2017年6月号)では、問題を分析し、対策案も示されていますが、私は、「通訳を使う側」の問題点を取り上げます。

 

日本語は英語や中国語に比べてかなり特殊な言語のようです。

(詳細は以下の本を参照ください。)

 

 

 

 

日本語が母語である私自身、日本語で何かを説明する時には自分では無意識に「できるだけ少ない言葉で、相手に察してもらう表現」をしていることに気づきます。

 

そんな「察する」ことを求める日本語。

また「共通認識」を背景にしている日本語を、母語が日本語以外の通訳人が通訳するのは至難の業。

でも、「できない」とか「わからない」とか言いにくい雰囲気の中、「なんとかできたらいい式」になるのも無理のないこと。

 

司法通訳は、時間的に余裕がある人しかできない業務です。

いつ、必要になるかわからず、必要な時にすぐに対応しなければ他の人に仕事がまわる。

そして、司法通訳は裁判所や警察の職員ではなく、アルバイトのような立場。

一家の大黒柱が担当するには不安定なのです。

 

様々な問題がある中で、関西テレビの特集サイトでベトナム語の通訳人、落合幸子さんは次のように言っています。

 

【ベトナム語の事件通訳人・落合幸子さん】

「完璧な100%正しい通訳を出来る人は多分いないと思います。
いくらベテランでも。犯人だろうと、思い込みがあって、そうすると悪い情報ばかりピックアップして伝える。
これは冤罪になる、そういう心理は私たちは人間だから、避けられないことではないかと思う。
一番危険なことではないかと思う。
ミスを防ぐためには、大事なところは取り調べ官が何度も角度を変えて何度も質問すること」

 

通訳人は非正規職員ではない以上、通訳人に責任を持たせることには限界があります。

それでは取調べや裁判をする側が通訳ミスを防ぐために最新の注意を払うしかないでしょう。

それも、中国では中国国籍を持つ人しか法廷通訳人になることはできないのに、日本では日本語が母語の通訳人は外国籍、あるいは日本籍であっても母語が日本語以外の人が通訳人をしていることが多い状況なので、通訳すること(日本語の意図を正確に把握すること)が困難なのですから、通訳人を使う側(警察官、裁判官、検事、弁護士)が状況を理解し、うまく通訳人を使うことが重要になってきます。

 

今、私は司法通訳の端の方で、隙間のような翻訳・通訳をしていますが、そこでも、通訳ミスというか通訳が日本語の意図を正確に解釈していないために誤解が発生している例を垣間見ます。

 

人一人の一生が関わってきます。

もちろん、有罪であるのに無罪とするのは問題ですが、無罪なのに通訳ミスで有罪になるのは何が何でも避けなければならないでしょう。

 

外国人の場合、裁判を受ける前に勾留される場合がほとんどです。

家族と離れ、自由に連絡することもできず拘束されるのです。
勾留されるにはそれだけの理由はあるのでしょうが、それでも犯罪者扱いされている状態ですから、もし、無実なら、一日も早く自由にしなければなりません。

 

こんな事を考えながら日々業務を淡々とこなしています。

そして、通訳人を使う側の方々に参考になる小冊子を作りたいと思っていますが、その前に、通訳人を使う機会のある方で、このブログを読まれた方は、どうか、慎重の上にも慎重に対応していただきたいと思います。