​第2章 初雪の日の記憶 


(4)


レヴィ!
大丈夫……?


百合夜は泣きそうな顔で、レヴィの肩や髪に積もった雪を慌てて払った。


「こんなに雪が……」


「大丈夫だ」


レヴィはそう言って、静かに立ち上がる。
自分の袖についた雪を払いながら、穏やかに続けた。


「寒さを感じていなかっただけだ。
少し……自分の内側に意識を向けていただけだ」


その言葉よりも先に、
百合夜の表情が胸に刺さる。


「……そんな顔をするな」


驚いたように、レヴィは彼女を見る。


「本当に、何でもない。
それより……君にも雪が積もっている」


そう言って、百合夜の髪にそっと触れ、
白く残った雪を指先で払い落とす。


「……よかった……」


百合夜は小さく息を吐き、胸に手を当てた。
次の瞬間、ふっと表情が緩む。


「ふふ……くすくす……あはは」


「……何がおかしい」


訝しげに問うレヴィに、
百合夜は目尻に涙を浮かべたまま笑う。


「だって……
雪が積もってる人、初めて見たんだもん」


「……」


「びっくりさせないでよ……」


小さく俯いて、そう呟く。


「悪かった。次は気をつける」


レヴィはそう答え、
無意識のように、百合夜の髪にもう一度だけ触れた。



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