第2章 第1話 初雪の日の記憶 

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「レヴィ、どうかしたの?」


リリーが不思議そうに、そっと覗き込む。
その声は柔らかく、雪のように静かだった。


「……いや、何でもない。もう少し歩こう」


レヴィはそう答え、自分の外套を外してリリーの肩に掛ける。
白い指先を包むように手を取り、ゆっくりと歩き出した。


穏やかだ。
あまりにも、何も変わらない。


雪に覆われた庭は眠りについていて、
風の音さえ、遠慮がちに息を潜めている。


「ねえ、レヴィ。春になったら、丘まで散歩しましょう?」


「ああ。あそこには野いちごが実る。
たくさん摘んで、子供たちに届けよう」


そう言うと、レヴィは自然と笑っていた。


「まあ……素敵ね」
リリーは嬉しそうに両手を軽く打つ。
「甘い香りが、今にもしてきそう」


「君は本当に、こういうことを楽しむな」


「だって、楽しいもの」
彼女はくすりと笑う。
「ジャンもアルも喜ぶわ。
あの子たち、貴方のことをとても尊敬しているのよ」


「俺は……俺のまま生きているだけだ」


レヴィはそう言って、空を仰いだ。
灰色の雲から、静かに雪が降り続いている。


——こんな日々が、ずっと続けばいい。


そう思った瞬間、
胸の奥に、小さな棘のような違和感が刺さった。




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第1話です。


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