第2章 第1話 初雪の日の記憶 


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「レヴィ……どうしたの?
泣きそうな顔をしているわ」


祭壇の前で、彼女は静かに振り返った。


銀色の、長く柔らかな髪。
深い青空のような瞳。
そのすべてが、変わらないままそこにあった。


彼女は、いつものように微笑む。


祭壇は、彼女の祈りの場。
清らかな光と澄んだ空気が、静かに満ちている。


――ああ、リリー。


「……なんでもない」
レヴィは、少し考えるように言った。
「ただ……懐かしい気がしたんだ。
 なんでだろうな」


自分でも理由がわからず、苦笑する。


「変な人ね」


くすくすと、楽しそうに笑う。
その声も、仕草も、何も変わらない。


レヴィは、懐かしむように。
そして、どこか置き去りにされたような気持ちで、彼女を見守った。


「外、寒かったでしょう?」


そう言って、リリーは控えの間へ消える。
ほどなくして戻ってきた彼女の手には、二つのカップ。


カモミールと、エルダーフラワー。
やさしい香りが、空気にほどける。


「はい。これは……はちみつ入り」


レヴィの分だけ、少し甘い。


ひと口含むと、
そのやさしさが、胸の奥にゆっくりと溶けていった。


「……美味いな」


「でしょう?」
「レヴィは、本当に甘いものが好きね」


また、くすくすと笑う。


いつもと同じ笑顔。
いつもと同じ朝。
何も変わらない、はずの時間。


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