魔女とレヴィ 第8話 闇を照らすもの 


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「レヴィ、これに着替えて!」


 百合夜は嬉しそうに雑誌を開き、メンズ浴衣のページをぱっと見せた。


「この濃紺の細いストライプ、絶対レヴィに似合うと思うの」


 真っ直ぐ向けられた期待の眼差しに、レヴィは小さく息をつく。


「……わかった」


 次の瞬間、淡い光がふわりと彼を包み、魔力で衣が整えられていく。


「あとね、もうちょっと髪を横に流した方が……」


 百合夜がそっと手を伸ばし、指先がレヴィの髪へ触れた。


 その瞬間——
 微かな温度が、まるで深いところに落ちていくみたいだった。


 黒く沈んだ念が、静かにほどける。
 長い間、硬く締めていた何かが、ゆっくり、ゆっくり溶けていく。


 気を抜けば、そのまま目を閉じて身を任せてしまいそうで。


「レヴィ?」


 百合夜の声が、少し遠くに聞こえる。


「……なんでもない」


 百合夜はやわらかく微笑んだ。


「大樹も着替えるよ〜。去年の甚平、もう小さくて入らないもんね」


 新しい甚平に袖を通した大樹は、ぴょんと跳ねてレヴィに見せる。


「見てレヴィ! 同じ色! レヴィみたいでしょ? かっこいい?」


「……ああ、似合ってる」


 どこか照れくさそうに答えると、大樹はさらに嬉しそうに笑った。


「私も着替えてくるね」


 軽い足取りで部屋へ入る百合夜。
 その扉が閉まる音に、レヴィの視線は釘づけになったままだ。


「ねーレヴィ? レヴィ?」


 呼びかけられて、ようやく我に返る。


「なんだ、大樹」


「もー! ママがお小遣いくれたよ。レヴィの分も!」


「……俺は子どもか?」


 小さく苦笑しつつ、そっと大樹の頭を撫でる。


「大樹が使え。好きに買っていい」


 その優しさに、大樹は胸を張って頷いた。