台湾語の「予(互/乎/給)hōo」と「共(給/甲)kā」  その1「予hōo」と「共kā」の違い | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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「予(互/乎/給)hōo」は、動詞の「やる、あげる」という意味もあるが、難しいのはもうひとつの使い方、「~される」という受け身&「~させる」という使役を表す前置詞の方。「共(給/甲)kā」は、中国語の「給」や「跟」に近い、「~のために」「~に対して」という意味の前置詞である。

この二つの違い&使い方は、台湾語の文法で難しいポイントベスト3に入るかもしれない(あくまでも日本人学習者にとってね)。

学習者がわけわからんようになる理由の一つは、使用される漢字にあると思う。「予(hōo)」(←教育部推薦漢字はコレ)は音をとって「互」や「乎」と書かれることもあるが、日本で出されている台湾語の辞書やテキストでは多く「給」が使われている。「給」と書かれると、中国語の前置詞「給」の意味に引きずられて、どうしても「~に」「~のために」と訳したくなってしまうのだ。

それに加えて、実際に「~に」「~のために」「~に対して」を表す前置詞「共(kā)」も、「給」の漢字を使うことがある。ホントもう、何がなんだかという感じ。だからせめて、日本でも前置詞「hōo」は「給」ではない別の漢字を使ってくれーーと言いたくなるのだ。

そういうわけで、ここからは「予hōo)」と「共(kā)」で話を進めます。まずは「予(hōo)」の説明だが、以下は以前書いた記事からの抜粋なので、もっと詳しく知りたい方はココを読んでね。


使役と受け身に使われる前置詞「予(hōo)」

使役は簡単に言うと「~させる」(華語では“譲”“使”“叫”“教”などの使役動詞を使う。)で、受け身は「~される」(華語では“被”“叫”“譲”などの前置詞を使う)である。台湾語では双方とも基本的に前置詞「予(hōo)」を使う。そこがまず、「共(kā)」との区別以前に最高にややこしいところである。

例えば、使役の文、「母は彼に薬を飲ませた」は

  媽媽予伊食藥矣
 (Ma-ma hōo i tsia̍h io̍h ah.)

受け身の文、「私のパソコンは彼に壊された」も

  我的電腦予伊創歹。
 (Góa ê tiān-náu hōo i tshòng-pháinn.)

となる。え?「~させる」も「~される」も同じなの?というところだが、「予hōo)」のあとはいずれも動詞の「行為者」、すなわちその行為を行う人が来ることに注目すると理解しやすい(上の例文では「(薬を)飲む」の“食”や「壊す」の“創歹”が動詞)。つまり、使役も受け身も、行為自体には違いはなく、発話者の立場の違いを表すのみ、ということなのである。

いわゆる「台湾国語」の代表例として知られる“我給他打。”。一瞬「私は彼をなぐった。」かなと思うが、ご存じのようにこれは、「私は彼に殴られた。」という意味である。この文の元になっている(?)台湾語の文がこちら。

 我予伊拍。
(Góa hōo i phah.)
(私は彼に殴られた。)

「予(hōo)」は使役にも使われるわけだから「彼になぐらせた」可能性もあるが、そこは文脈で判断するしかない。いずれにしても動詞が表す動作の行為者は「彼」であり、殴ったのは「彼」である。次の一文もちょっと混乱する例。

 予你找。(Hōo lí tsāu.)
 (おつりをください)

「予(hōo)」の後は行為者なので、おつりを出すのはあなた、なのだが、やはりパッと見「あなたにおつりをあげます」に思えてしまう。まだまだあるぞ。

 我予你請,真多謝。
(Góa hōo lí tshiánn,tsin to-siā.)
(おごってくれてホントありがとう。)

私があなたにおごったんじゃあない。何度も言うが“予”の後は行為者。だからおごったのはあなた。あの鐘を鳴らすのもあなた。

 不通予伊進来。
(m̄-thàng hōo i ji̍p--lâ.i
(彼を入って来させるな)

 予伊食去。(Hōo i tsia̍h--khì.) 
(彼に食べられちゃったよ。)

 予醫生看。(Hōo i-sing khuànn.) 
(医者に見てもらう。)    

とにかく、「~して」というときも、「~してくれる」というときも、「~させるな」いうときも、「~された」というときも、「~してもらう」というときも、とにかくとにかく「予(hōo)」のあとは行為者がくる。そのあとの動詞の動作を行う(行った)人がくる。


「~のために」「~に対して」を表す「共(kā)」

次に「~のために」「~に対して」を表す「共(kā)」のお話。ただこっちの「共(kā)」も、「~から・・・する」の意味(「(あなたから借りる)」)とかもあって実はめちゃめちゃ複雑で難しい。でももうキリがないのでそのあたりは省略で。

 我共你洗。(Góa kā lí sué.)
(あなたのために洗ってあげる。)

 我共你講。(Góa kāh lí kóng.)
(私はあなたに対して言う→ちょっと聞いて)

「共(kā)」のあとは行為者ではないですね。そう、こちらは行為者は主語で、そこが「予(hōo)」との大きな違い。もうそこだけ掴めばとりあえずはおっけーかも。あとはゆっくり他の意味も覚えていけばいいかなと思います。次回、五月天の台湾語の名曲「好不好」の歌詞に出てくる「予(hōo)」と「共(kā)」を分析してみようと思います。