11、ちょっと地味、でも静かな感動作 ベスト3
1位 ⇒ 『候鳥來的季節(渡り鳥が来る季節)』(2012)
このシリーズの「その1」で書いた、泣いた映画ベスト3の第3位。でも最初書いたときにはその存在を忘れていてあとで追記した。そんくらい、地味。タイトルが地味、主人公(温昇豪)の職業が地味(渡り鳥の観察員)、ストーリーも地味。なのになのに、とてもよかった、文句なしの感動作。家族の愛の物語である。クライマックスの、主人公と弟のケンカのシーンはコチラも本当に号泣しました。詳しいことはたまりの「映画の中の台湾語」シリーズでも取り上げているが(→昔の記事)(あ、でもネタバレあるかも)、自信持ってオススメできる一作です。
2位 ⇒ 『逆光飛翔(光にふれる)』(2012)
実在の盲目のピアニスト、黄裕翔が主演した、まさに光に静かに触れるような感動作。あまり期待せずに見たが、どっこい、とても面白かった。目が見えないというハンディを抱えながらピアニストを目指す。凡人には想像もつかない苦労や苦悩があるだろう。その陰の部分はもちろん物語のそこここで見え隠れするのだが、全体を貫いているのは人々の「優しさ」である。盲目の彼にどう対応していいかわからずに音大の同学たちの多くは無関心という手段を選んでしまう。そんな中、何とか彼の才能を伸ばそうと心砕く教師、裕翔の才能を認め彼らなりの形で応援する数人の仲間、そして静かに裕翔と心通わせるダンサー志望の美少女。みな優しい。わたしはもう、これでもかこれでもかと意地悪な人が出てくる映画は見たくないのだ。そうそう、この黄裕翔、アミ族出身のミュージシャンSUMINGのバックでピアノ弾いてたけど、今はどうかな。
3位 ⇒ 『單車環島日誌 練習曲』(2007)
限りなくドキュメンタリーっぽい「環島日誌」である。言ってみれば、聴覚障碍者である主人公が自転車で「環島」(台湾1周)するだけの話。途中でいろんな人に出会って、知り合った若者の家に遊びに行ったりもするのだが、特には何も起こらない。女の子と恋にも落ちないし、だまされてひどい目にあったりもしない。ひたすら自転車で台湾一周するのである。なのにこれが、じんわりと心を打つ。なんなんでしょうね。勝ったり負けたり、恋に燃えたり失恋したり、傷つけたり傷ついたり・・・アップダウンの激しい日常を送っている身には、美しい台湾をひたすら走り続け普通の人に普通に出会うその穏やかさがしみるのかもしれない。私の大好きな東部の海岸もたっぷり見られるし、太麻里も出てくる。実に静かな不思議な映画です。