のつづきです。
相手の目線で言葉を選ぶ
その言葉は、相手も理解できているか?
何かを伝える場合、相手の頭で考え、
その言葉を理解できているか否かまで想像することが大切だ。
「最初の言葉」は相手との対話の入り口だ。
「自分が使っている言葉は、相手も知っているはずだ」
という思い込みは、
「最初の言葉」の力を弱めてしまうこともある。
言葉に相手の経験や実感が伴っていないと、
本当の理解につながらないからだ。
相手の経験とつながる言葉は、
自分自身の経験に立ち返ると見つかりやすい。
たとえば、次の文章のどちらが関心をひくだろうか。
A:「売上1兆円」の会社に勤める人の財布の中身を見せてもらった。
B:「平均年収1000万円」の会社に勤める人の財布の中身を見せてもらった。
答えはおそらくBであるはずだ。
給与という自分の具体的な経験と比較できるため、
実感を持ちやすい。
対してAの売上は取引の総額であり、
実感を持ちにくいのではないだろうか。
もし、共感できる部分が見つからないなら
「要するに(それって何?)」
「たとえば」
という視点で考えてみよう。
もし、「会議のアジェンダを設定する」という文の「アジェンダ」
に引っかかったなら、
「アジェンダって何?」→「議題のこと」→「会議で話し合う内容」。
ここまで掘り下げることで、
「会議で話し合う内容を決めること」
というわかりやすい表現にたどり着く。
「価値」を見つける4つの視点
自分が書いた文章が、「どこかで見たような表現になってしまう」
と感じているなら、
その「よさ」に気づけていない可能性がある。
「心を込めて作った料理」
「業務効率化のご提案」といった表現は、
どこかで見たような言葉の組み合わせである。
こういった表現は、読んだ人がその場面や様子を
思い浮かべることができず、
たくさんの情報のなかに埋もれてしまうだろう。
同じような表現になってしまうのは、
本来の価値を見落としていることに原因がある。
コーラの入ったグラスを、真上から見るのと斜め上から見て
見比べるだけで違う見え方が発見できるように、
同じ事実でも「視点」を変えることで違うものが
見えてくるものだ。
同じ事実から価値を見つけるには、次の4つの視点が役立つ。
①視点をずらす
「本日のパスタ」を、その土地に目をつけて
「漁師町で生まれた絶品パスタ」にする。
②抽象から具体へ
「心を込めて作った料理」を
「その日一番の旬の野菜を、5時間煮込んだ料理」とし、
具体的な行動や時間、特別な価値がわかるようにする。
③マイナスをプラスに
「傷あり商品」を「ちょっと冒険品」、
「型落ちモデル」を「実績十分モデル」にするなど、
発想を転換してマイナスをプラスに表現する。
「ブサカワ」「ヘタウマ」もこの一種である。
④看板から価値へ
「読書会」を「著者の真意を考察し合う読書会」に変える。
「読書会」という名称(看板)だけでなく、
そこで得られる具体的な体験や価値を示すことができる。
読んでもらうための「ひと工夫」
インパクトのある「主語」を文頭に置く
伝わりやすい言葉を作るには、
できるだけ「主語」を入れるといい。
誰が行っているかを明確にすることで、
「共感」が高まるからだ。
さらに、インパクトがある主語については、
できるだけ前に置くようにしたい。
A:1年で売上トップになった新人営業マンの秘訣
B:新人営業マンが1年で売上トップになった秘訣
両者とも同じ内容を伝えるタイトルだが、
読まれるかどうかという観点では、
大きな違いがある。
まず、「1年で売上トップに」と「新人営業マンが」を比較すると、
Aは「何が?」「誰の売上か?」といった疑問が浮かぶ。
一方でBは、新人営業担当者の話であることが一目瞭然だ。
すると、営業の人や部下の指導をする管理職が
「自分に関係ありそう」と興味を示す可能性がある。
現代人は忙しく、パッと見て「自分に関係がなさそう」
なものは即スルーしてしまう。
数ある記事の中から「これを読もう」と選んでもらうには、
書き出しの一言に目をひく言葉を持ってこなければならない。
著者が長年の経験から導き出した第5章、
「短い言葉でもインパクトを残せる言葉の基本」は必読です。
第4章「22文字で物語を作る」もとても興味深いです。



