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​こんにちは。
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お風呂上がりにバスタオルで体を拭き、

そのまま服を1枚も着ずに冷蔵庫を開けて

冷たい飲み物を喉に流し込む。

 

 

そのまま意味もなく、

生まれたての姿のままでリビングから廊下、

キッチンへと家中を無駄にウロウロと歩き回る。

 

 

実家にいた頃でさえ

そんな破天荒な徘徊はしたことがなかったのだが、

同居している恋人が出張に出かけ、

家の中が「完全なる1人きり」になった瞬間、

私の体はこの全裸徘徊の

フェスティバルを開催してしまう。

 

 

私は今、愛媛県松山市にあるマンションで、

首の骨を折って肩から下が動かない

車椅子ユーザーの

しげちゃんと一緒に暮らしている。

 

 

 

 

 

私たちの家には、24時間、

毎日違うヘルパーさんが

交代で常に出入りしている。

 

 

一般的に見れば

プライバシーなんてものは文字通りゼロ、

どこを向いても常に他人の視線が

存在する特異な環境だ。

 

 

そのため、普段の生活でお風呂に入るとき、

私はあることに異常なほど気を遣っている。

 

 

それは、お風呂から上がった後に

着る部屋着の準備だ。

 

 

脱衣所へ向かう前、

部屋着の上下を絶対に間違えず

にセットで持っていくこと。

 

 

これが私にとっての密かな

最重要ミッションとなっている。

 

 

もし、うっかり寝ぼけていて、

上着だけを2枚持って脱衣所に入ってしまったら、

その瞬間に私の日常は

一気に災難へと早変わりする。

 

 

部屋には常にヘルパーさんという他人がいるのだ。

 

 

 

 

 

いくらしげちゃんの手足となって

動いてくれているヘルパーさんとはいえ、

下半身を丸出しにした状態で

「あ、間違えちゃった」と

リビングを横切るわけにはいかない。

 

 

そんな事態に陥ったら、

私は脱衣所の中で服を着られないまま、

一人で途方に暮れることになる。

 

 

だからこそ、しげちゃんが出張で不在になり、

ヘルパーさんもいない

完全な一人きりの空間になったときは、

何の気遣いも要らない。

 

 

服を着ずに冷蔵庫を開けて冷たい水分を補給し、

無駄にリビングをウロウロしてみる。

 

 

実家にいた頃だって

そんな大胆なことはしていなかったのに、

なぜか今の環境になってから、

この「誰の目も気にしなくていい時間」が

私の、ちょっと特殊な日常の裏側だ。

 

 

でも、同じように

パートナーとの同居生活や、介護、

あるいは何らかの形で他人の目を気にしながら

暮らしている人がいるなら、

この「反動で極端な

解放感を求めてしまう気持ち」は、

きっと痛いほど分かってもらえると信じている。

 

 

しげちゃんの出張には、

基本的には私も一緒に同行することが多い。

 

 

色んな県へ仕事の名目でついていけるのは、

私にとっては半分旅行のような気分で、

美味しい地元の料理を食べたり、

新しい景色を見たりできる最高に楽しい時間だ。

 

 

 

 

 

 

ただ、しげちゃんのスケジュールが分刻みで、

私の自由な時間がほぼ作れないような

過酷な出張のときは、

私は大人しく自宅で

お留守番をすることにしている。

 

 

その瞬間、私の一人全裸徘徊フェスティバルの

幕が上がる。

 

 

普段から我慢を強いられているわけではない。

 

 

しげちゃんもヘルパーさんも、

私にそんな理不尽なルールを課してはいない。

 

 

ただ、一人の時にしか絶対にできないことを、

ここぞとばかりにやり尽くしたいのだ。

 

 

服を着るという、人類が数万年かけて身につけた

最低限の理性を脱ぎ捨てて、

リビングをウロウロしている時の

あの圧倒的な開放感。

 

 

私にとっての秘密の癒やし時間なのだ。

 

 

 

 

 

こんな風に書くと、まるで私にとって

ヘルパーさんという存在が、

普段の生活の邪魔になっているかのように

誤解されてしまうかもしれない。

 

 

だが、それは完全に真逆だ。

 

 

ヘルパーさんが24時間しげちゃんのそばにいて、

彼の体となって動いてくれているからこそ、

私はこうして自分の時間をこれまで通りに確保できている。

 

 

こうしてパソコンの前に座って、

誰にも邪魔されずに

文章を書き続けることができているのだ。

 

 

よく周りの人から、驚きと好奇心の混ざった目で、

こんな質問をされることがある。

 

 

「どうやって恋人としての時間を作っているの?」

「24時間他人が家にいて、

どうやって二人のオンとオフを

切り替えているのか知りたい」と。

 

 

世間一般のイメージにある

介護やヘルプの仕様だと、

四六時中、当事者の真後ろに

ぴったりとスタッフが張り付いているような光景を

想像するのだろう。

 

 

しかし、私たちの家で起きているチームプレイは、

そんな型にはまった退屈なものではない。

 

 

大事なのは、物理的に近くにいつでも

一緒にいることではない。

 

 

しげちゃんが「今、どうしたいのか」という

意思決定に基づいて、

ヘルパーさんの動きがその都度、

軽やかに変わることだ。

 

 

基本的には、食事の時も

ヘルパーさんと一緒に

ワイワイと居酒屋へ行くことが多い。

 

 

けれど、

「今日は二人きりで静かに話がしたいな」と

しげちゃんが決めれば、

二人だけで居酒屋の暖簾をくぐる。

 

 

その間、ヘルパーさんはお店の近くの車の中や、

いつでも動ける状態で待機してくれている。

 

 

そして、その二人きりでいる時間のご飯のサポートだけは、

私が彼のファーストクラスの

専属キャビンアテンダントになったつもりで、

楽しく対応しているのだ。

 

 

 

 

 

しげちゃんと出会わなければ、

私は障害を持つ人が送る

「自立生活」という世界の仕組みを、

一生知らないまま終わっていた。

 

 

介護といえば、あらかじめ決められた

マニュアル通りの

スケジュールに人間が体を合わせ、

許可をもらいながら静かに生きるものだと、

勝手に思い込んでいた。

 

 

しかし、ここで繰り広げられている日常は、

どんな状態であろうとも、

自分自身の決定権を握り締め、

自分らしく生きていける環境が

この世界には用意されているのだという、

生きる希望そのものだった。

 

 

その生き方に、私は日々感動している。

 

 

ここから先は、

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便利な包み紙をすべて破り捨てて、

私たちの日常の、さらに奥にある

生々しい本音を赤裸々に綴っています。

 

 

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排泄のリアルと愛情の質の話。

https://note.com/yasuyo_san/n/nd0d071ded2ff
 

 

 

 


 

 

 

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