三つの気配が動かない。
舞衣は、既に真魚達に気付いている。
真魚達を待っている。
そう考える方が正しいと言えた。
「お出迎えか…」
真魚が、笑みを浮かべている。

「滝か…」
その音が聞こえている。
急に森が開き、闇の中に滝が見えた。
大きな岩の前に三人がいる。
昴と舞衣。
そして、見知らぬ一人の男。
真魚と嵐は構わず、滝に向かって歩いた。
「あの男か…」
朔が、吐き捨てるように言う。
「神などいないではないか…」
朔の目の前には、一人の男と、一匹の子犬。
もし、生命の耀きが見えていたら…
朔は、腰を抜かしたことであろう。
「あなたには死んでも見えないかもね…」
「あの耀きが…」
昴が朔にそう言った。
「耀き?何の事だ…」
「いるじゃない…」
朔の戸惑いに、昴が笑みを浮かべた。
「どこにいるのだ?」
「そこに…」
「だから、どこだ!」
「だから、そこに!」
朔の問いに、昴が堪らず指を差した。
「子犬じゃないか!」
言ってはならぬ言葉。
それを、朔は言ってしまった。
「誰が、犬じゃ!」
「!!!」
朔が驚いている。
「今、誰か喋らなかったか?」
「だから、誰が犬じゃと、聞いておるのだ!」
朔の足下で、子犬の嵐が見上げていた。
「い、い、い犬が喋った!!」
朔が同意を求めるように、昴の袖を握った。
「神様よ…」
昴が笑って言った。
「こっ、こっ、これが、神様!!」
「お主、食らってやろうか…」
驚く朔を見て、嵐が言った。
「人も、食らうのか?」
今度は舞衣に、真意を聞いている。
「知らないわよ!」
「何なら、少し囓ってもらえば…」
今度は、舞衣が朔をからかう。
「やっぱり…まずそうだから止めておく…」
「一番うまい…肝っ玉が小さすぎるわ…」
嵐が、朔に尻を向けた。
「見抜かれてるわ…」
その様子を見て、舞衣が笑っていた。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-