ソレを最初に見た時の私は
「コイツ『モト』みたいなヤツだな…」
…と思ったのを覚えている。
別居後、未だ互いの家を出入り出来た頃に観た「モト」の冷蔵庫には
「新品のレタス」
と
「半分くらい使い掛けのレタス」
と
「1/3程になったしなびたレタス」
…が、御丁寧にも一つの段に横並びで置いてあったから。
とにかく。
どうも『彼』にとって
「球状の物を上から真半分に切る」
…という事は至難の業だったようで、玉葱なども同じように
「上から上斜め半分」
…に切って放り出し、「次」にはまた新しいモノ……を繰り返していた。
「洗い物」は見事なほど全くやらず、それでいてただパンを一回切っただけ、というような包丁でも直ぐ「洗い場」に放り投げ、新しい包丁を使っていた。
今となっては「コノ国らしい馬鹿」くらいにしか思わないだろうが、当時はその瞬間を見る度にその頭にゲンコツ飛ばしたくなるのを押さえることに苦労したものだ。
そんな彼が職安からの命令?で「リーダー」と二人でカフェ近くのスーパーに二週間の「労働体験」に送り込まれることになり、その間調理場は実質私が仕切っていた。
そして体験が終わった時点で「リーダー」はめでたくそのスーパーに採用にされてカフェに戻って来ることはなく、今もそこで働いている。
私が『お局』のオバちゃんから最初にその話を聞いた時、彼(=リーダー)の普段の働きぶりからして当然だろうな……思ったし、元々彼とオバちゃんは彼が幼い時から家族ぐるみで付き合いがあると知っていたので
「私からも御祝いを言っておいてね」
…と伝えたのだが、ふと思い出し
「そう言えば、
●●君(=もう一人の彼)は?」
…と聞くと、彼女は一瞬ちょっとバツの悪そうな顔をしたものの、モゾモゾとした声で
「…『アンタは要らない』
…って言われたらしいの…」
…失礼だ、とは思ったが、私はその場に笑い崩れることを押さえられなかった。
そんな私を見てオバちゃんも笑いをこらえていた。
「私が日本人だから」というだけの問題じゃなかったんだ、と納得した瞬間でもあった。
しかし、その次に私の頭に浮かんだのは
「若しかして『彼』、ここに戻って来る?」
「…いや、判らない。何も聞いてないから…」
結局、有難いことにその●●君は二度と私達の目の前に戻って来ることはなかった。
後から聞いた所に寄ると、当の本人は「当然」一緒に採用されると最初から高を括っていたので、逆に相当ショックで「引き籠り」になっていたらしい……!
🤣🤣🤣