「モト」の余りに『彼らしい』……呆れ切った答えを聞き出し、「モト」が仕事に行った後、私は一人で『彼女』への返事を書いていた。
もちろんその段階でも『彼女』に対する恨みなど全く浮かばなかったし、同時に直接会う気も全くなかった。
極々簡潔に、それこそ「ファックスに一枚」にも満たなかったのだが、その夜、私は「モト」が帰って来る前にそれを『彼女』に送った。
そして私は再び確信を持っていた。
多分、『彼女』の方から電話が掛かって来るだろうな……と。
『彼女』からの「最後の電話」として。
私はその夜帰宅した「モト」に
「もしも『彼女』からの電話が来たら、
優しく対応しなさいね!」
…と大釘を刺した。
(私が居ない間に来る可能性だってあったからね)
そうやって言っておかないと「また」馬鹿な対応するに決まっているから……!
返信の内容?
もう忘れてしまったが、
「アノ人は『アナタも御存じのように』
ああいう馬鹿なヒトです。
貴女は既に十分『アノ人のせいで』
嫌な思いをしているのですから、
わざわざまた会ってもっと嫌な思いを
重ねる必要はないと私は思います。
どうぞ「あんなヒト」のことはサッサと忘れて
貴女だけを幸せにしてくれる
新しいパートナーを見つけて下さい。
お幸せをお祈りしております」
…こんな感じだったと思う。
そして。
私の予想は見事当たった。
次の日。
ちょうど「マオ」が学校に行き、「モト」が出勤するまでの間に『彼女』から電話が掛かって来た。
それはまさに「モト」の「日程」を知る彼女からの「気配り」だったんじゃないか、と私は思っている。
「……も、もし……もし……」
…「低い声」は変わらなかったが、最初の電話(参照;『彼女』をそこまで追いつめたのは…?)の、ある種ドスの効いた声とは全く違う、震ええたか細い声だった。
ああ「反省」して泣いていたんだな、と私には直ぐ判った。
いわゆる『不倫専門』なんてヒトは、結局
「自分の方がアッチより魅力的よ!」
…と思いたいダケだし、何より基本「自分に自信が無いヒト」ということだしね。
同時に(それゆえ)「優しい言葉」に飢えているヒト達ということだ。
「……ああ、ちょっと待っていて下さいね!」
…私はわざと「普通の口調」のままそれだけ言うと、隣でオロオロ震えながら立っていた「モト」に電話口を塞いだまま渡しながらキツイ声で言った。
「優しく、ねっ!!」