それでも「ボクのせいじゃない!」らしい 8 | コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

コノ国の体裁(カタチ) ~幻像『大英帝国』の住人達~

 閃いて、まさに!という想いでつけたのですが……司馬遼太郎さま、ごめんなさい……!
 

   

 

  「モト」の余りに『彼らしい』……呆れ切った答えを聞き出し、「モト」が仕事に行った後、私は一人で『彼女』への返事を書いていた。

 

 

 

  もちろんその段階でも『彼女』に対する恨みなど全く浮かばなかったし、同時に直接会う気も全くなかった。

   

 

  極々簡潔に、それこそ「ファックスに一枚」にも満たなかったのだが、その夜、私は「モト」が帰って来る前にそれを『彼女』に送った。

 

 

 

   そして私は再び確信を持っていた。

 

 

 

 

   多分、『彼女』の方から電話が掛かって来るだろうな……と。

 

   『彼女』からの「最後の電話」として。

 

 

 

 

 

 

   私はその夜帰宅した「モト」に

 

   「もしも『彼女』からの電話が来たら、

 

  優しく対応しなさいね!」

 

 

   …と大釘を刺した。

    (私が居ない間に来る可能性だってあったからね)

 

 

 

   そうやって言っておかないと「また」馬鹿な対応するに決まっているから……!

 

 

 

 

   返信の内容?

 

  もう忘れてしまったが、

 

 

  「アノ人は『アナタも御存じのように』

 

  ああいう馬鹿なヒトです。

 

 

  貴女は既に十分『アノ人のせいで』

 

  嫌な思いをしているのですから、

 

  わざわざまた会ってもっと嫌な思いを

 

  重ねる必要はないと私は思います。

 

 

  どうぞ「あんなヒト」のことはサッサと忘れて

 

  貴女だけを幸せにしてくれる

 

  新しいパートナーを見つけて下さい。

 

  お幸せをお祈りしております」

 

 

 

  …こんな感じだったと思う。

 

 

 

 

 

   そして。

 

   私の予想は見事当たった。

 

 

 

 

   次の日。

 

   ちょうど「マオ」が学校に行き、「モト」が出勤するまでの間に『彼女』から電話が掛かって来た。

 

   それはまさに「モト」の「日程」を知る彼女からの「気配り」だったんじゃないか、と私は思っている。

 

 

  

 

   「……も、もし……もし……」

 

 

 

 

   …「低い声」は変わらなかったが、最初の電話(参照;『彼女』をそこまで追いつめたのは…?)の、ある種ドスの効いた声とは全く違う、震ええたか細い声だった。

 

 

 

   ああ「反省」して泣いていたんだな、と私には直ぐ判った。

 

   いわゆる『不倫専門』なんてヒトは、結局

 

 

   「自分の方がアッチより魅力的よ!」

 

 

   …と思いたいダケだし、何より基本「自分に自信が無いヒト」ということだしね。

 

  同時に(それゆえ)「優しい言葉」に飢えているヒト達ということだ。

 

 

 

 

   「……ああ、ちょっと待っていて下さいね!」

 

 

 

 

  …私はわざと「普通の口調」のままそれだけ言うと、隣でオロオロ震えながら立っていた「モト」に電話口を塞いだまま渡しながらキツイ声で言った。

 

 

 

  「優しく、ねっ!!」