当然その日は予定通り「食事」の後に「買い物」を済ませたのだが、その帰路で『テンちゃん』が
(御両親が)
「折角はるばる来てくれたのだから」
…と言って急遽「プチ観光巡り」を始めてくれ、結局帰宅したのは夕食直前、と言いたくなるような時間だった。
これはいつもの事なのだが、『テンちゃん』の性格を良く知る私としては
「彼女らしいなあ」
…という気持ちと
「そこまでやる必要ないのに」
…というアンビバレンツな気持ちしかなかった。
それはもちろん『ウタさん』……と言うよりも『元祖」、いや
「その製造元」
…の「ほぼ初対面で、コレ?」という態度に接したこと。
そして「そういうヒト」は……例えその後自分達が何度「痛い目」に遭おうと……ほぼ確実に『人の好意』を搾取することに長けている人達である、という「経験値」からだった。
そう、コノ人達も
「ボクは『ありがとう』って言ったよ?」
…で済ませるばかりでなく、その後一度受けた「1」の好意が次には「2」になり、その次には「3」になることが「アタリマエ」となる人ではないのか?……という『心配』だった。
(実際「モト」も少し前まで『テンちゃん』にタカることを平気でしていた)
実際、その時……と言うよりもその後「御両親」が滞在中に「彼ら」からも『ウタさん』からも
(『テンちゃん』に)
「御世話になったから」
…というような名目で彼女が食事に招待されたり、金品を渡される事は一切無かった。
そう考えて行くと……セコイと言われるかもしれないが、私自身、彼らから「日本のお土産」のようなものを一切貰ったことがない。
最初に御両親が滞在している間に数回『ウタさん』の家に行ったことがあるが、逆に?「家族」に対するお土産は山のようにあった。
それこそ、当時日本でもやっと一般化して来たばかりの『ル〇バ』を変圧器付で持って来てもらった、と喜々として見せてくれたほどだ。
しかし「その時」の真の問題は、事が「その時」だけで終わらなかったことだ。
「万が一」ということで『テンちゃん』と電話番号を交換した『ウタさん』は、その後『テンちゃん』に直接連絡を取るようになってしまった。
いや、「連絡を取る」という言葉は合わない。
私自身日本に居た時にも同じような「御近所さん」が居て、終いには彼女から電話が掛かって来ると
「今度は、どんな『頼みごと』?」
…と返事をしていたくらいだが(そして「そういうヒト」はそう言われたところで絶対にひるまないよね?)……「そういうこと」である。
何より『テンちゃん』が「巻き込まれた」のは私のせいだ。
「モト」の身にあったように「餌食」になり続けた相手がある日ハッキリとキレることもあるだろうが、それ以前に『嫌な思い』をさせたくない。
とは言え『テンちゃん』は信じられないくらい親切で寛大とは言え(だから「大天使」)コノ国の人だし、何より「大の大人」である。
「モト」が同じ目に遭ったら即「オマエのせいで…」となるだろうが、『テンちゃん』は
「自分のことは自分で決める・自分で決めたことは責任を持つ」
…人である。
『ウタさん』と「何か」がある度に恐縮する私に
「心配しないで、出来ないことは出来ないって言うんだから」
…と笑って答えてくれていたが、私がこれほど『不愉快』になるのは、その「頼みごと」の内容だけの問題ではなかったのだ……!