『B』とは先に出て来た「業務用スーパー」(参照; 9)のこと。
朝7時半から開いている、と言う。
基本そこは飲食店やケアハウス、小売店やケータリングなどの「業者」で、尚且つ会員にならないと入店出来ないシステムなのだが彼女の場合は息子の一人が会員だった。
私も過去に友人に付き合って何度か行った事があるのだけれど、業者用だから当然一つ一つの販売単位が大きい。 家族が多い彼女ならともかく、私には余程じゃないと必要はないからいつも「冷やかし」でしかなかったのだけど。
しかしまあ、日本でも「転売ヤー」以外で「マスク」や「トイレットペーパー」を積極的に買い占めしているのは時間と体力(とある程度の財力?)がある『高齢者』である、というニュースを耳にしていたのだけれも……これも世界共通なのだろうか???
日本(の高齢者)が買い続ける目的は「予備」という以前に家族の為、特に働いている自分の子供や孫の為だという。
或いは周囲の友人達に分けて『ドヤ顔』したい、なんて目的?もあるそうだ。
どちらにせよ早朝から車を運転して寒空の中2時間待ち続け、更に山のように買い物が出来る気力と体力と財力がある人達なら最早『優先』する必要もないんじゃないか?……と考えてしまった私は冷たい人間なんだろうか?
『B』は『S』から車なら10分程で着く。
出入口に近付くと、車が何台か並んでいるのが見えた。
やはりクリスマス時期でもない限り見ない光景だと友人が言ったが、良く見ると入口に警備員らしき人が立っていて、一台ずつ止めて何か話している。
ふと彼の横を見ると
「11時までは小売業者とケータリング業者のみ」
…と、急いで作りました感満載の横断幕が張られていた。
「あ~、なるほどね~!」
…一瞬彼女は溜息をついた(注;彼女の息子は「飲食店」の分類)が、
「ま、とにかく一旦ウチに戻ろう!」
…と言って彼女の家の方角へハンドルを切った。
既に通勤・通学の車で結構忙しい時間帯になっていた。
私自身は普段滅多に通らない直線道路をノロノロと進んでいた時、少し前の三叉路に車の列が出来ているように見えた。
「あれ? 何があったんだろうね~?」
結局それは単なる「信号待ち」というだけだったのだけど、そこはもう一つの大型スーパー、『M』への入口だった事を二人はほぼ同時に思い出した。
「行きましょ! 今はとにかく行ってみなきゃ判らないよ!」
そう言って彼女は『M』の方向にサッとハンドルを切った……。