さっき夫の健康保険組合から書類が届いた
私の名前宛だったのでホッとした
郵便受けを覗いて夫宛の手紙を見つけると
ドキッとしてしまう
今はまだ夫の名前を見てうれしい
という心境にはとてもなれない
私の名前宛だったから
油断して開けたらいきなり
夫の書いた文字が目に飛び込んできた
傷病手当金請求の書類で
亡くなる1か月前に夫が書いたものだった
この時はまさか
自分が1か月後にいなくなるなんて
思っていなかったはず
夫は自分の口座に入るものと思って書いた
けれど夫が亡くなってしまったから
私の口座番号を記入してください
という内容の書類だった
心の準備なく夫の文字が突然
目の前に現れたから
必死に抑えていた感情のふたが一気に開いて
涙がぶわっとあふれ出た
そして
あの頃のことが次々と頭の中に蘇ってきて
しばらく動けなくなってしまった・・
さっき買い物に出かけたら
通りの桜がいきなり満開どころか
すでに一部散り始めていてビックリ
桜の開花については知っていたけど
ここまで季節が進んでいたなんて・・
家から徒歩20分くらいのところに
桜の名所で有名な大きな公園がある
ここの桜を夫と一緒に見に行くことは
当たり前すぎる毎年の恒例行事だった
今頃きれいだろうな・・
でも今年はとても行けそうもない
自然や街歩きが大好きな夫は
あちこちの桜を見に誘ってくれた
上野公園の桜
六本木ヒルズの桜
千鳥ヶ淵の桜
日比谷公園の桜
井の頭公園の桜
国立の大学通りの桜
旅行で京都に行った時にも
ちょうど桜の季節で
たくさんたくさん桜を見た
哲学の道の桜は満開だった
結婚して最初の桜の季節には
夫に誘われて夜桜を見に行き
ラーメンを食べて帰ったなぁ
今思うと、独身の頃は
桜をわざわざ見に行く習慣はなかった
桜の開花を待ちわびるようになったのは
夫の影響だったんだと今さら気づいた
これから季節が巡って
夏になり
秋になり
冬になり
季節ごとの思い出に
押しつぶされることになるのは
今から目に見えている
四季のある日本を誇らしく思っていたのに
今は四季なんてなければいいのにと
ハワイみたいに1年中同じような気候ならば
こんなにも切なくならなかったんじゃないの
なんてふてくされている
でも夫にしてみたら
自分との思い出が苦しいなんて
思い出の場所にとても行けないなんて
哀しいと思うのはわかっている
自分の書いた文字を見ただけで泣くなんて
切ないと思うのはわかっている
頭ではちゃんとわかっているけど
どうしてもどうしても
感情が追いつかない
でももしも、今
「一緒に行こうよ」
と夫の声が聞こえてきたら・・
どこにでも行くよ
今すぐにでも行くよ