もう俺のラーメンの中に、

俺はいないんだよ

(p44)

 

2020年に、ドラマ化が発表されてからビッグコミックスペリオールで連載中の「らーめん再遊記」。第1集第2集第3集に続いて、第4集が2021/12/28に発売されました。

 

 もともと、「らーめん才遊記」のドラマ化に合わせて短期連載で始まったという「らーめん再遊記」だが、予想以上の人気で4巻目、3つ目のストーリーから話は始まる。それは第3集から続く先輩・宇崎との対決。「ラーメン自販機」を舞台にしたラーメン対決を経て、宇崎の中にある「ラーメンへの情熱」を、悪態ともいえる挑発で引き出す芹沢。その情熱に火をつけさせるカンナ、そこにプロレスの小ネタを挟む平田(笑)。


 冒頭の引用部に挙げたのは、自販機ラーメン対決の時に宇崎から漏れた言葉。自我の塊として創作麺料理に拘り、一度挫折した彼が、それが全てそぎ落とされたのか、無我の境地に達したのか。
 

 この答えは、芹沢が有栖を連れて宇崎の店に向かった先にあった。2つの類型から全く新しいラーメンを生み出し、それでいて互いに長所があるラーメンという、芹沢が追い求めたスタイルに向け、無我の境地で一歩先を行っていた。そんな宇崎に悪態をつきながら、芹沢も気持ちよく東京に戻る。


 次のストーリーが第4集の後半に描かれる。出版社の編集長時代に世話になった取締役から頼まれごとを受けたのは、かつて流行っていた「背脂チャッチャ系」ラーメン店のテコ入れ。しかしその店主板倉は、流行っていた時には芹沢に悪態をつき、その後芹沢から土下座(あのドラマの影響か?)させられる屈辱を受けていた。テコ入れの話は無かった事になったものの、芹沢はそれを機に背脂ラーメンを食べ歩くことになり、そこで出会った若者に助けられたが、この若者の父親が実は板倉で…といったところで次巻へと続くことになる。


 芹沢と板倉との確執については、テレビの討論番組とかイベントでのスタッフ引き抜きなど、大げさに描かれてると思う所がありながら、「背脂チャッチャ系」が旧世代の代表として「中華そば原理主義者」と共に芹沢を小馬鹿にするという展開は当時の空気感を戯画的にまとめたものとも言える。「背脂系が衰退したと言われるが、今でもファンが多い背脂系の店がある」というのは確かにその通り。後半は、背脂とラーメンに関する様々な話題が絡みながら話が進行していくと思われる。
 

 この作者による前々作「ラーメン発見伝」第6集では、背脂チャッチャ系のラーメン店を藤本がテコ入れしている。この時は芹沢は登場せず、板倉との確執ゆえに背脂系ラーメンから遠ざかっていたと自嘲しているが、芹沢の回答は藤本と同じなのか、それとも異なるのか、そういった点でも次巻は注目したい。