いったい、どうして破綻するまで「創作麺料理としてのラーメンの確立」という理想に固執してしまったんだ…?
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第2集で始まった「豚麺堂」でバイトの仮面をかぶっていた芹沢は、第2集の最後に行われていた「創作ラーメンコンテスト」の厨房へ。ライバル関係だった鹿内と加納が同点で並んだ勝負に乱入し、二人の上を行く作品を突然出して優勝をかっさらってしまう。この展開はいささかギャグっぽく、対立していた二人を同時に叩きのめしたことで二人が仲良くなったというのは結果オーライ展開(笑)。
4話目から新章に。舞台は東北地方のQ県。イメージとしては秋田っぽいかなぁ。芹沢は有栖からの紹介で、山あいの大学で短期集中講座の講師を務めているという設定。この大学と、街場の普通のラーメン店からストーリーが始まる。その普通のラーメン店の店主が、このストーリーを紡ぐ役割を担う。
「お前、平田だろ」
このセリフは、元々は1985年の新日本プロレスで、藤波辰巳が覆面レスラー「スーパー・ストロング・マシーン」に叫んだ言葉として有名で、ネットミームにもなっている。第2集で芹沢がプロレスネタに食いついている所が伏線になっていて、ここでこのセリフを使った事はマニア心をくすぐったかと。そのネタの為に、この男は「平田」と名付けられたようなもの。
閑話休題。平田から語られる事は2つある。まずは芹沢より先に「創作麺料理」で人気を博し、夢を追ってQ県に来たはずの、宇崎の挫折。これに近いエピソードはあったような気もする。冒頭に引用した芹沢の述懐は、彼が諦めた道であり、現実のラーメン職人の中にも踏み込んでしまった人もいた話だったと思う。
そしてもう一つは、大学の近くにある「自販機食堂」。昭和世代には懐かしい、自販機で提供されるラーメンが、思いの外ウマかった。そんな自販機食堂の仕掛け人として、まだ若い女性であり、料理には素人のカンナが登場する。
その、カンナと共に自販機食堂を切り盛りしていたのが、実は行方知れずだった宇崎だった。宇崎がこれまでに抱えてきた「心の中のゴミ屋敷」を芹沢が一つずつこそぎ落としていく様子は、前シリーズの「若者の挫折」とは真逆を描きながら、その影を照らす役割を、カンナという若い女性にさせている。
詳しくは語らないが、このコマにすごく心打たれるものがあった。大学入試で「この時のカンナと宇崎の心情についてまとめよ」という問題があれば、軽く1000文字書けそうなくらいに考えさせられる。一言でまとめるなら、宇崎、芹沢、そして読んでいる自分自身の「老い」を見せつけられてしまったからかもしれない。
そして、そんな縁のアヤが結びつき、芹沢と宇崎はカンナのオファーを受け、自販機ラーメンでの対決をする事に。第3集はその対決前まで。どのような対決になるのか、宇崎は「ラーメン職人としての終活」を成し遂げるのか、そして芹沢は何を得るのかを期待させる展開で、次巻への期待を繋いでくれています。

