それが何時間も待たされたあげく、
手術当日、説明しますということになったのだった。
前日の段階で、看護師さんからは、
「朝の7時から、だいたい昼過ぎくらいまでかかると思います」
ということは言われていて、
その間は待合室で待機するようにとも言われていたから、
そこで仕事ができるようにと、かなりな大荷物をもって家を出たのでした。
先生はきわめて多忙な人で、
手術当日も、なかなか先生とは連絡がとれず、
(このままでは手術の時間になってしまう!)
と心配になって看護師さんに訴えにいく、
ということを何回かくり返して、
ようやく先生のところに話をききにいくことになります。
夫は今、頭がフラフラしてゆっくりゆっくりしか歩けません。
それなのに、そっちが待たせておきながら、
病室からナースセンターまでの道のりをせかす看護師を
で、先生のお話。
手術は夜の8時か9までかかるとのこ。
そんなに

「だからオクサンはいったん帰って、夕方また来てください」
「
」しかし何よりも私を打ちのめしたのは、
「もちろん万全を期して手術を行いますが、
神経と密接している部位のため、
右耳が聞こえなくなることと、
顔面麻痺が残ることがあります」
と言われたことです。
手術直前である今。
なんで今?
なんで今、そんな重要なことをいうわけ?
夫は昨年の10月にくも膜下出血で倒れて手術をしました。
その時にとったMRIのおかげで、
脳内に良性腫瘍があることがわかりました。
なので昨年の段階で、
「これは良性の腫瘍なので、
すぐにどうにかしなければいけないものではないです。
ですが、時期をみて摘出手術をしましょう」
ということは言われていたものでした。
(でも、あれから今までの間に、
手術についてのそんなリスクのことなんて
何にも言ってくれなかったデスヨネッ
)(なんで手術直前の、こんなナーバスな瞬間に、
夫まで同席させて、そんな説明をするんデスカッ
)(なんで今なんデスカッ
)もう、憤死するかと思いました。
が、夫にとっても先生にとっても大事な大事な時です。
私が自分の怒りをあらわにしている場合ではありません。
話が終わってその足で、夫はヨロヨロと手術室に向かいます。
私たちは、
「きいてなかったよね~、むかつく」
などと言い合う時間もない。
夫の肩をそっとさわって、
必死で笑って、
「じゃあね」
というのが精一杯。
ヨロヨロと、夫は手術室に消えていきました。
手術が終わればICUに入ることになるそうです。
それまで一般病棟にいた病室の荷物を持って帰るように
という指示が入りました。
二人分のPCと、山のような山のような荷物をかかえて、
私は病院からいったん、帰ることになりました。
バスの中で、ず~~~っと流れ続けていた
あの涙は、なんの涙だったのでしょう

怒りがこみあげてきて、
かなしくて、
夫が、かわいそうで、
そして何よりも、心配で心配で…
もう、今はこの気持ちを
流しちゃえ、流しきっちゃえ

他人の目があんまり気にならない
という自分の性格が幸いして、
私は帰りのバスの中で、ボロボロボロボロと
涙を流し、自分の中にわき上がる気持ちを
吐き出しておりました。
もうすぐ駅につく、という頃に、
ビルに貼られた猫のポスターが目に入りました。
それを見たとたん、涙の質が変わった気がした。
あぁ、リソースというのは、
ツラい時こそ、しみいるものなのだ。
すごいね、猫のポスターをみただけで、
慰めてもらったように感じられたんだよ。
あぁ、今日は長い一日になりそうだ。