大型クルーザー
地中海沿岸にはリゾートホテルとマリーナが無数にある。ヨットやボートでの異国への行き来が多く、大きなマリーナの入り口には入国手続きが出来る税関が設置されていた。マルベーリヤには日本とは比べものにならない豪華なマリーナがあり、護岸には洒落たレストランが軒を連ね、その周囲をホテルや別荘、ゴルフ場などが取り巻いていた。写真の背景のフェリーのような船は個人所有のクルーザーだ。このクラスのボートが至るところに係留されていた。2月だと言うのに日中は暑く、長袖の裾を捲り上げて歩いても汗ばむくらいだった。マリンライフの楽しみ方も日本とはやや異なるようだ。レストランでパエリヤを食っていると目の前のボートの護岸に車が入ってきた。出て来たのは高齢の白髪紳士と若き美女、短パンでデッキ掃除を始め、他にもゴソゴソしていたがデッキチェアーでコーヒーを飲み始めた。これから出航かと思ったらそのまま戸締りして帰って行った。他にも同じようなパターンが多く、よくよく考えると数百隻ものボートヨットがあるのに出入港する船を見かけない。乗って走るだけでなく休憩場所に使うほうが多いようだ。
ホテルの朝食は質素なアメリカンでパンとコーヒーしかない。後は町で買って来なさいと言う事らしい。カップラーメンでも何でも構わない。奥の席から飛行機で一緒だったロンドンバアチャンが小さく手を挙げて「ハ~イ!」と挨拶してきた。二人とも上気して顔色が良い。夕べは仲良く頑張ったのだろう。「じ~~っ」と顔を覗き込むとうつむいていた。
他の街は知らないが、ここは何処を探しても食品店はなく中央のビルに集中している。野菜から肉やハム、魚介類から他の食品まで那覇の公設市場のように寄り集まっていた。魚介類は日本と同じで、ほぼ名がわかった。そのビルでワインと生ハムを2種類、果物を買った。ずらりと吊るされた生ハムから希望したハムを目の前でスライサーで切ってくれる。じ~っと人の顔を見ながらストップがかかるのを待っているのだ。言わなければ夜明けまで切り続けるかも知れない。生ハムは数百グラムはあったが驚くほど安かった。誰もいない浜で一人、ワインと生ハムを賞味、日本とは比べ物にならないくらい旨い。当時の日本は一般的なスーパーにも生ハムは売られてなく、友人の料理長に業務用の大きな塊を取り寄せてもらっていた。また自宅の庭でもベーコンや生ハムを自分で作っていたから味にはうるさい。砂浜に寝転がって夜空を見ていた。打ち寄せる波の音が子守唄に聞こえる。やがて波の音は遠ざかり、気が付くと星はなかった。代わりに朝日が我が物顔でギンギラギンに・・要するに浜で野宿してしまいホテルには朝帰りだ。寒くはなかったが日本なら凍死していたかも知れない。まあ二月のヨーロッパで野宿した奴もいないだろう。ロンドンで革ジャン買って来て良かった・・・

