動植物の細胞の優れた機能 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

動植物の細胞は細胞膜からの異物の侵入を一切拒否している。植物も魚もタコも動物も体に良い悪いに関わらず皮膚から侵入されては困る。植物は根から、動物は口から入るのが道理で、必要なものは腸の細胞から吸収される。細胞は遺伝子によって形成される単独の生き物で自らの使命を果たして世代交代する。目に見えないくらいの細胞だが、その機能は重要で、必要に応じて自由に伸び縮み出来る。動物の皮下脂肪が良い例だろう。皮膚細胞に脂肪を溜め込んで非常時に備える。熊は秋までに脂肪を溜めて冬眠に備え、鹿は春から夏にかけて新芽を食べて皮下脂肪が厚くなり、新芽のない冬を越す。植物も食べれば立派な脂肪に変わる。猪は秋から冬にかけて木の実や土中のヤマノイモを食べて分厚い脂肪を蓄え夏はげっそりと痩せる。鹿は食べもののない冬には樹皮をかじって飢えをしのぎ、猪は食べ物の少ない夏は昆虫や小動物まで食べる雑食性になる。だから鹿肉の旬は夏で猪肉の旬は冬なのだ。豚の祖先は猪なのだが、同じ仲間でも脂の質がまったく異なる。豚の脂身はべたついて加熱すればすぐに溶けるが猪の脂身は溶けずにコリコリして本当に旨い。猪は脂身を食べるというくらいだ。豚も野生で育てれば猪と同じ脂質になる。理由は食べるものが異なるからだ。生命力のある生の植物性のエサと人工飼料の違いだろう。これは養殖魚にも言えることで、ブリもタイも天然とはまったく異なる。言い方を変えれば自然で健康的な脂質と不自然で不健康な脂質の違いだ。彼らはいくら体に脂肪を蓄え肥満になってもメタボにも病気にもならない。脂肪を蓄えるのは細胞の立派な役割で、動物の生命維持に必要だからだ。植物との違いは、エサを探し回る動物とは異なり、植物は大地に根を張り、その場所の土壌に合った育ち方をするところだ。本来、細胞に養分を蓄える必要はない。しかし細胞は動物と同じように伸び縮みする。理由は簡単だ。身動きできない植物は異様な成分に対して土壌を中和して整える大切な使命を持っている。正常な土壌を作るのは植物の仕事なのだ。余計なものはすべて根から吸い上げて地上に分散する必要がある。その余計なものを細胞に蓄えて肥大するのだ。元の水と大気にも戻そうとするのだが、哺乳類ではなく虫たちがそれを助ける。必要以上に膨らんだ植物は細胞膜が薄く、虫の餌食になりやすい。哺乳類と違って寿命の短い虫にとってはたいしたことでもないのだ。牧場の牛が自らのフンで大きく緑鮮やかに育った草を食べようとしないのはそれが理由だ。人から見れば柔らかくて美味しそうに見えるだろうがそうではない。それを動物は本能で嗅ぎ分ける。動植物の細胞が膨らむ理由の違いは、動く動物は必要だから動けない植物は不必要だから膨らむのだ。動物は備蓄の為、植物は排除の為とも言える。