東シナ海流44 海底捜索の苦悩 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

海難の翌日、本土からプロダイバー6人がヤマハ所有の10人乗り飛行機「アイランダー」で島にやって来た。遺体捜索のプロ達だ。さっそく作戦会議が開かれ参加した。一番年配者の隊長を中心に当日の状況が綿密に分析され、「じゅうたん式捜索計画」が立てられた。海域を絞り、等間隔で隊列を組んで掃海するのだ。潜水チームには自分と、浜松本社から来た「密漁専門」の吉松さんが参加した。会議の終盤、決まりかけた作戦に異議を申し立てた。「そんなことは無駄だ」と沈んでいる海域をピンポイントで指定したのだ。そこは「捜索海域外」だった。計画は作地浜と切石港の中間の事故現場を中心に組まれたが、指定した場所は、作地浜から切石港とは反対方向へ数百メートル程行った場所だった。彼らにしてみれば見当違いな海域で、まして一番経験の浅い年少者の言葉だ。根拠を問われたが説明のしようがなかった。分析だけでは割り切れないものもあるのだ。「そこに沈んでいるのは間違いない」としか言いようがないのだ。一人で先に潜らせてくれと頼んだが、結局、隊長の「勝手な行動は許されない」との言葉で決定した。捜索隊に加わらず一人でさっさと潜れば良かったのだが、「そこじゃない、ここだ」と感じたのは会議中だったのだ。それから丸二日間に渡り捜索をしたが発見出来なかった。そこでもう一度場所を主張するとやっと許可が下りた。他のメンバーは海域を広げて再度隊列を組んで掃海することになった。吉松さんと二人、指定した海域に潜ったが、運んでくれた船はメンバーのほうに戻って行った。手を振れば視認出来る距離だったから仕方ない。あまり期待はされてはいないようだ。本隊で船は必要なのだ。30分ほどで迎えに来るだろう。水深は25mで、吉松さんは「こんなサメの多い海に置き去りにされて・・」とぼやいていた。二人で潜るとすぐに見つかった。飯伏さんは真下の海底に下向きに横たわっていたのだ。遺体の側には大きなサメが二匹、周囲を回遊していた。一匹は4m、一匹も3mは超えている。これではとても近づけそうもない。一旦出直すことにして浮上した。海面から数百メートル遠方に見える船に向かい、声をあげながら両手を振るのだが、なかなか気付いてくれない。後ろから吉松さんがわき腹を突いてきた。海底を指差しながら顔が引きつっている。下を見ると、さっきのサメがこちらへ向かって来ていた。明らかにエサと間違えているようだ。薄暗い海底から海面に向けて泳いでくるサメほど不気味なものはない。岸までは遠く船も気が付いていない。しかも十分に人を襲う大きさのサメなのだ。小さいほうはコースを逸らして周囲を回遊するつもりらしい。大きなほうが真っ直ぐに向かって来た。吉松さんはレギュレターから空気をガバガバ噴出して威嚇したが効果はない。サメは死んだような目でこちらを見据えたまま数mの距離まで接近、鋭い歯が目の前に迫って来た。